ディスコ堂 by mrkick

音楽に貴賎なし ―Discoの考察とCD批評

80s Remix

80s Remix続けてコンピの紹介ですいません。でも、日本のコンピレーションをこの辺で持ち上げておきたかったのです。東芝EMIが97年に発売したものですが、かなり気に入っています。中古でけっこうみかけますけれど、おすすめです。

まず、選曲がいい線いっています。外国のも含めて、80年代ディスコの良いコンピレーション(オムニバス)はほとんど無いといっても過言ではありません。一般的なシングル・バージョンのディスコ選曲集はたくさんあるのですが、これにはクイーン「ラジオ・ガガ」やトーマス・ドルビー「ハイパー・アクティブ」やヒューイ・ルイス・アンド・ザ・ニュース「パワー・オブ・ラブ」といった、ほかでは目にしない12インチバージョンが入っているのが良いのです。

もう一つは、音質がすばらしいことですね。日本盤は全体的に音が良い。某レコード会社幹部の知人も、「日本人ぐらい音質にうるさい人種はいないのではないか」と言っています。確かに、マスターテープをきちんと取り寄せて、しかも12インチバージョンを最後までちゃんと収録する姿勢は、私にとっては尊敬に値します。

このCDには11曲しか入っていませんが、77分程度しか入らないCDでは、12インチばかり集めているのでこれで限界です。へたなコンピCDであれば、15、16曲の12インチバージョンが入っているのに、ほとんどが途中で勝手にフェードアウトされていたりしますから。

ディスコの曲というのは、長く踊ってもらうとか、DJが曲をつなぎやすいといった配慮から、ロングバージョンが大きな特徴です。70年代には20分近いのもあったのです。80年代に入ってから7分前後が普通になってきましたが、惜しげもなく全部を収めているCDというのは、これはこれで貴重なわけです。

Classic Alternatives

Classic Alternativesカナダ国トロントのSPGレーベル盤の12インチ(ロングバージョン)のCDコンピ。純然たるディスコとはいえないかもしれないが、以前に紹介したMen Without Hatsと同様、踊りやすい曲が満載なので選びました。

表紙に見えるとおり、本当にレアな12インチが並んでいます。カルト、イエロー、アイシクル・ワークス、ステファン・ティン・ティン・ダフィ…。普通のアルバムバージョンならけっこうありますが、12インチについては、ほかのCDではめったに見かけません。

米国アマゾンで手にいれたのですが、特筆すべきは3枚組みで2000円もしないという価格でした。音ははっきり言って「よくない」方ですが、その珍奇性と価格で「買い」のCDだと思います。

思えば、80年代前半から半ばにかけては、本当にいろんなジャンルの曲がディスコ空間で多重奏を奏でていました。もともと黒人系ダンスミュージックの権化のようなマイケル・ジャクソンやアース・ウインド・アンド・ファイヤーはもちろん、メン・アット・ワーク、マドンナ、ジャーニー、クラッシュなどなど、選曲はまったく節操がなかったのです。

この時代、ビルボードチャートに入っていた曲のほとんどは「踊れる」曲だったという記憶があります。やはりシンセやリズムマシーンなどの電子楽器の発達が背景にあると考えられます。テンポが正確な上、キックやメリハリが利いていて、ステップを踏みやすいという特徴があるからです。

このCDは、そんな80年代でも英国やカナダのニューウェーブ系のアーチストが顔をそろえています。YESの「オーナー・オブ・ア・ロンリーハート」で有名なトレバー・ホーンがプロデュースしたプロパガンダの「Pマシーナリー」や、ヒット曲「エノラゲイの悲劇」で知られるOMDの「イフ・ユー・リーブ」の12インチバージョンなんかも入っています。とにかく貴重です。

SPGの「Aternative」シリーズには、「Clasicc Alternatives Vol1〜3」とういうシリーズもあり、これも低価格で秀逸です。特にVol2に入っているロミオ・ボイドの「ネバー・セイ・ネバー」は思い出の曲。札幌の大箱ディスコでは、B-52'sの「プライベート・アイダホ」や英国スカ系のスペシャルズ「リトル・ビッチ」あたりの高速テンポの曲とセットでよくかかっていました。40歳直前になった今は、踊ろうとしても、もう動悸、息切れが激しくなって、体がついていけそうもありません。

黒人も白人も、ロックもパンクも。「ごった煮」状態の80年代ディスコを象徴するCDでもあります。

ボーイズ・タウン・ギャング (Boys Town Gang)

Boys Town Gang日本では「君の瞳に恋してる」があまりにも有名なBTG。でも、世界的にはほかにもいくつかディスコの名曲を残しています。このCDは後に発売された国内盤ベスト(ビクターエンタテインメント)よりも収録曲数が少ないのですが、Disco Kicksのロングバージョンが入っていて貴重です。でも、ベスト盤よりも珍しいとはいえ、中古CD屋では300円とかで売られているところが悲しいのですが。

BTGについては、スリー・ディグリーズのカバー「天使のささやき」が好きな曲です。チャートインはしなかったものの、哀愁誘うメロディーが耳に残る逸品です。このCDにもベスト盤にも入っています。数年後、マグダ・レイナという女性もこの曲をカバーしていて、米ディスコ・チャートでは53位に入る健闘を見せています。日本のディスコでもよくかかっていました。

レーベルはMoby Dick。米サンフランシスコに拠点を持ち、ハイエナジー系の曲をよくリリースしていました。代表的なのはSex DanceやRocket To Your Heratで有名なLisaですが、ヒッピーやボヘミアンが多く集まるSFの自由な土地柄もあり、ゲイ・アーチストが多数、関わっていました。80年前後のヒットメーカーであるパトリック・カウリーもその一人で、American Dream(演奏アーチストはHot Posse)というヒット曲をこのレーベルからプロデュースしています。

このパトリック・カウリーは残念ながら、82年、ほかの多くのディスコアーチストと同様、エイズで亡くなってしまいました。ボーイズタウンギャングのプロデューサーのビル・モトレー(Bill Motley)も86年、エイズで亡くなっています。今と違って、「ゲイがエイズに感染する」というケースが多かった時代でした。フリーセックスとドラッグという快楽主義に彩られたディスコは、エイズの広がりとともに死んだとも言われています。

ディスコ文化は、こうした「しゃれにならない」ことは致命的です。「底抜けにおばか」でいられるうちが華なのです。日本のバブル経済期後半、東京六本木の「トゥーリア」で起きた、死傷者を何人も出した機材落下事故にも、同様のことが言えると思います。快楽主義とは、線香花火のようなもので、夢の火種がぽとりと落ちると、一気に暗くなってしまうものなのです。

「君の瞳…」は、私が7、8年前、ダンスクラシック系のパーティーDJをやっていたときにも、よくラストにかけていました。だって必ず盛り上がるんですから。狂喜乱舞状態になる。そんなラストシーンが決まった後、ゆるいスロー系の曲に変えて、照明を明るくして…。「宴の後」は、心地よさとともになんだかもの寂しさも漂います。踊り狂った自分を少し気恥ずかしく思ったりして。一気に日常に引き戻されます。

ディスコは、ばか明るくて楽しいだけではない。いくばくかの哀しみもたたえているからこそ、人の心にいつまでも残るのだと思っています。

Moby Dickレーベルの関連ページ

Modern Rocketry

Modern Rocketry「非常ベル?火事だべか?」Modern RocketryのI'm Not Your Stepping Stoneが札幌のディスコでかかり始めた1983年ころ、一緒にいた友人は思わずこう叫んだ。威勢の良いシンセドラムに混じって時おり流れる非常ベルに似た効果音は、不思議な感覚を呼び起したものだった。超絶おばか異空間のディスコで、本当に火事など起きたら大変である。実際、外国では火事やら暴動やらが起きて死人も出たことがあるから、しゃれにならない。その後、盛り上げ時間帯の定番になって、何度も耳にするようになってからも、「ベル」が鳴ると変な感じがしたものだ。

この曲は、音作りの点で強いインパクトがあった。たたみかけるようなビート、メリハリのあるボーカル。「非常ベル」だけではなく、シンセサイザーの色んな音が織り込まれていて、踊りやすさは群を抜いていた。レコード会社は、シルベスターやパトリックカウリーがいくつものディスコヒットを制作したメガトンレーベル。このレーベルは後半、けっこう似たような曲を多く発売してマンネリ化したのだが、Modern Rocketryは、ボーカルが英国のニューウェーブっぽくて、ちょっと異質で面白い。とにかくシンセ音に迫力がある。古さは感じさせるが、90年代以降のハウスやテクノの「洗練されすぎた」電子音に拒否反応を示す私のようなレトロ人間にとっては、それぐらいがちょうど良いのである――。

写真はUniciscの数年前の再発盤。残念ながら「Stepping Stone」はロングバージョンではありませんが、ほかの曲も聞き応えがあります。音質が良好なのは◎。インターネットでまだ比較的容易に手に入ります。

Men Without Hats

Men Without Hats私の持論では、ディスコとは、「四つ打ち」に代表されるような、明確で重いバスドラムビートにメロディーを乗せたダンス曲、またはこうした曲をDJがかけて客に専用フロアで踊らせる飲食店のことを言います。店舗としてのディスコでかかる曲を総称して「ディスコ」と呼ぶ場合もあります。

中心となる時代は70代半ばから80年代後半まで。日本では、80年代後半にマハラジャ的なユーロビートが失速して、バブル経済ともども、終焉を迎えました。有名な「ジュリアナ東京」や「ゴールド」といったディスコ店は90年代に入ってからも生き残りましたが、ほんの一時期の出来事でした。

白人でも黒人でも黄色人種でも、ディスコの曲を発表したミュージシャンはいます。最も重要なことは、「ディスコミュージック」というジャンルや「ディスコの曲」はあっても、「ディスコミュージシャン」というのはほとんど存在しないということ。

「ディスコの曲」を作ったアーチストということでいえば、ローリングストーンズ、ビーチ・ボーイズからバーブラ・ストライザンド、エルトン・ジョン、ジェームズ・ブラウンまで、あらゆる人々が含まれます。例えば、カナダの著名ロックスターのブライアン・アダムズはTake Me To The Dancingというディスコ曲で事実上のメジャーデビューを果たし、ビルボードのディスコチャートにも入りました。彼はそれを恥と思っていて、自分のベスト盤には入れていません。けっこう軽快でいい曲なのにねえ。

ディスコは単純に言えば「踊れる」曲のことですから、このMen Without Hatsの曲群も立派なディスコです。いいんですよ、これが。シンセサイザーをうまく使った面白系のテクノポップ・ディスコに仕上がっています。

83年にビルボードのポップチャートで3位にまで上がった「セーフティ・ダンス」は有名ですが、ディスコでは「リビング・チャイナ」(テンポがめちゃめちゃ速い)、「ホエン・ドゥ・ザ・ボーイズ・ゴー」がけっこうはやりました。私が上京直前の84年ごろ、札幌の往年の名店「釈迦曼荼羅」なんかで超人気曲だったものです。リードボーカルのイバン・ドロシュクの声がなんだか変な低音で、不思議な魅力がありました。

あと、ポップ・ゴーズ・ザ・ワールドも歌詞は「私たちはポップを奏でる音楽家で〜す。さあ踊ろう」みたいに軽くて「おばか」な曲なのですが、それこそディスコの真骨頂。楽しく踊れりゃいいという典型、見本を見せてくれていました。

I Love Disco

I Love DiscoこれもスペインBlanco盤の80年代ディスコ集。3枚組。欧州で流行するディスコは70-80年代当時、シンセ多用のミーハー系が多かった。ジンギスカンやアラベスクやドゥーリーズなんかも欧州です。イタリアについては、ユーロビートの一大拠点でした。ディスココンピも、白人ミーハー系であれば、欧州産が全般的に良い内容になっているようです。

このCDには一般的なヒット曲も含まれていますが、特筆すべきはレアな曲が多いこと。C.C.CatchとかMax HimとかMy MineとかTwinsなど、80半ばに頻繁にディスコでかかっていたにも関わらず、CD化がされていたなかったものが収録されていてお勧めです。私自身はMy MineのHypnotic Tangoは哀愁系の逸品だと思います。

・・・ですが、今はこのCD自体が入手困難になってきています。中古でももし見つけられれば、購入する価値あり。ちなみに、Vol2、3もすごくいい。Vol3には、シルベスターやデッド・オア・アライブなどのお馴染み系に混じって、CD初収録のForrest「愛の航海」やRofoの「Flashlight On A Dancefloor」といった、これまでCD化されていなかった曲が目白押し。音質もまあまあ。ただ、曲と曲の間が短すぎなのが玉にきずです。

それと、世界では似たようなデザインの「I Love Disco」というタイトルのコンピレーションがいくつかあるので、混同しないように注意。ほかのコンピはたいしたことないです。

I Love Bobby ''O''

Bobby O80年代初期ディスコの一大ジャンルであった、ハイエナジーサウンドの代表アーチストのBobby O。ハイエナジーは70年代後半に出てきたリズムボックス打ち込み系が進化したもので、ユーロビートの前身と理解してよいと思います。世界のディスコサイトの権威であるDiscomusic.comなどによると、欧州や米国西海岸のゲイピープルに特に愛されていたようですね。私はストレートですが、こうした音は大好きでした。

Bobby Oには何枚かベスト盤があるのですが、このスペイン盤が一番お勧め。まず音が良い。ディスコの再発CDはとにかく音質が悪くて、私のコレクションで言えば、3割ほどはレコードから録音しています(プチプチ音がする)。その点、このCDはほとんどがマスターテープから入っていると思われ音はOK。知っている人は知っているShe Has A Wayのほか、Divine、Flirts(いずれもジャケット下に写っています)などの仲間アーチストが歌う曲が収録されています。中には、音質は悪いのですが、Pet Shop Boysの昔の曲も入っています(かつてBobby Oのプロデュースを受けていた)。

さらに、ほかのベスト盤に入っていないDancin'という曲が入っていることがポイント。この曲は当時の日本のミーハー系ディスコではよくかかっていました。このとき私は札幌にいたのですが、市内のディスコでよく耳にしたものです。

私にとっても基本盤です。ちょっと前、米国のアマゾンにレビューを書きました。Bobby Oは今、音楽業界の一線を退き、NYで弁護士をやってらっしゃるようです。17歳でデビューした天才ディスコ少年だったのですが、頭も良かったようですな。

Prince Charles and The City Beat Band

Prince Cherles1982年ごろ発表のプリンス・チャールズ。これもUnidisc盤です。ディスコ・ファンクでかなり重量級で格好いい音を出しています。当時、日本の一部のディスコでも好んで使われていたようです。1曲目のDon't Fake The Funkは私も何度か耳にしました。「バーン・ラバー」で知られるギャップバンドのような低音強調系です。ややアップテンポなのですが、パーラメントやアフリカバンバータ的な雰囲気もある。ヒップホップ好きにも良いかと思います。ただし、私の調べたところでは、チャートインは一切していないようです。

けっこう珍しい盤で、オンラインで見つけたら1枚いかがでしょうか。ギャップバンドやパーラメントみたいなディスコファンクに興味があれば、お勧めです。

ディスコの話

Leon Bryant新聞記者を辞めてフリーの物書きをやっています。趣味はディスコ。唐突ですいません。レコードやCDのコレクターを20年以上やっていて、普段の仕事と離れて、一般的なものから、珍しくて入手が難しかったものまで色んなCD類を紹介することにしました。今は外国からの入手が中心です。このあいだは、メキシコとブラジルから取り寄せてみました(到着まで不安だった)。

紹介一発目は、いきなりレオン・ブライアント。といってもパソコンの近くにあったので、デジカメで撮影しやすかったから選んだだけです。この人は12歳でプロバンドのリーダーを務めていたそうで、81年、Kool&The Gangも所属していたDe-Liteレーベルからデビューを果たしています。このアルバムは2枚目のMighty Bodyで、タイトル同名曲がシングルカット。ブラコン系の快調アップテンポの良い曲です。米ディスコチャートでは無視されましたが、R&Bチャートで81位に。写真のCDは、ディスコ再発で有名なUnidiscから出たやつです。ディスココレクションとしてのお勧め度は100点中65点といったところですね。全12曲入り。Mighty Bodyは12インチバージョンも収録。
CDのライナーノーツ書きました


たまには「ボカロでYMCA」
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初証言でつづる昭和国会裏面史!
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キーワードは意外に「ディスコ」。
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