Gary's Gangジノ・ソッチョにちょっと似た音を奏でる「ゲイリーズ・ギャング」も、1980年前後のディスコを語る上では欠かせないバンド。ドラムを担当するゲイリー・ターニアーから名前をとっていますが、中心になっていたのは、リード・ボーカルでプロデュースを担当していたエリック・マシューです。

まあメンバーのことはどうでもいいのですが、バンド発祥の地がニューヨークだというのは、かなり意外であります。彼らの曲は、都会的というよりも、聴けば聴くほど、さらさらに爽やかな「ウエスト・コースト・サウンド」だと思うんですね。さらに言えば、南国のマイアミサウンド的な雰囲気もあります。ジノ・ソッチョ並みに地味で落ち着いたメロディーラインなんですけど、どこか心地よさを感じさせる不思議な音です。

代表曲は、何といっても79年発売の「キープ・オン・ダンシン」で、ビルボードの全米ディスコチャートで1位を獲得しました。最初、NYの小さなディスコレーベルであるサム(Sam)・レコードから発売されて一部のダンスフリークの評判を呼び、メジャーのコロンビアから改めて発売されて、大ヒットにつながったというわけです。この曲が入った同名デビューアルバム「キープ・オン・ダンシン」には、「レッツ・ラブダンス・トゥナイト」という曲も収録されていて、これもフロアの人気曲となりました。

2枚目のアルバム「ギャングバスターズ」はあまり売れませんでしたが、意外にも80年代に入って復活を果たします。82年に「ノックミー・アウト」(全米ディスコチャート25位)、83年に「メイキング・ミュージック」(同8位)と好結果を残したのです。「メイキング…」については、私も何度かフロアで聞きました。派手さはないのですが、男性コーラスとシンセドラム&ベースの音色が美しく調和した、けっこうな佳曲だと思っています。

中心人物マシューは、80年代以降、自身のレーベル「レーダー・レコード」を設立したほか、他のアーチストのプロデューサーとしても大活躍しました。シャロン・レッド、トニー・リー、フランス・ジョリ、シークレット・ウエポン、パッションといった人気ディスコアーチストのヒット曲を次々と手がけ、才能を発揮しました。

写真のCDは、90年代にカナダ・ユニディスクから発売されたゲイリーズの2枚組ベスト。しかし、収録曲の多くは、90年代に入ってからのセルフリメイク・バージョンとなっており、注意が必要ですね。CDについては、「キープ・オン…」や「レッツ・ラブダンス…」であれば、ディスコの一般的なコンピものに入っていることが多いので、その辺をチェックするのが無難でしょう。