The Gap Band重低音シンセ炸裂のぶいぶい黒人ファンク・ディスコといえば、ギャップ・バンドを挙げたいところ。とりわけ、「イントロ効果音で車のエンジン鳴り響き〜の急ブレーキかけ〜の」の「バーン・ラバー・オン・ミー」(80年、米ディスコチャート19位、R&Bチャート1位)は、全開バリバリダンクラチューンであります。

ローニー、チャーリー、ロバートの「ウィルソン3兄弟」が主要メンバーで1967年結成。オハイオ州の石油産出地として知られるタルサの出身で、父親は牧師でした。本来はR&Bを志向しつつも、プロデビュー当時は同郷のロック&ブルースのスターであるレオン・ラッセルのバックバンドとしてスタートしたという変り種。ですから、最初はかなりマッチョな白人ロック風のアルバムを出すなどしてアイデンティティーを見失い、セールス的にもさんざんな結果でした。

3兄弟、「俺たちは何やってるんだ……っていうか何をやりたいんだ!」と人知れず苦悩していたところ、ロニー・シモンズ(Lonnie Simmons)という音楽マネージャーと出会い、運命が変わったのでした。70年代後半、そう、ディスコブームの波がザッバ〜ンと押し寄せていたころです。

シモンズさんは最初、なぜか「よし、黒人のビージーズを目指そう」と考えて、柔らかディスコ風に3兄弟を売り出そうとしました。「やべえ、また変な方向に行っちゃいそうだ」と兄弟たちは不安になりましたが、79年にシモンズのプロデュースで出来上がったアルバム「ザ・ギャップ・バンド」は結果的には黒っぽい曲調で大評判。シングルカットされたアースorクール風の「シェイク(Shake)」はR&Bチャート4位まで上昇する大ヒットとなったのです。

このアルバムでは、Baby Baba Boogieという曲が、典型的なディスコチューン(ディスコチャート48位)。「ブーギー」という“ディスコ用語”からも察せられるように、四つ打ちビートに跳ねるようなギターリフ、軽快なホーンセクション、それに「ダンス!」「ブーギー!」「ゲッダウン!」のお決まりの女性コーラスとハンドクラップとくれば、もう完璧です。

ただし、この人たちの本領が発揮されるのは、よりシンセファンク色が強まる80年以降。バーン・ラバーも、この年に発売された「ザ・ギャップ・バンド掘廚房録されています。この曲を特徴づけるイントロの効果音は、車2台を使って制作されたそうですが、レコード会社側は当初、「『キキーッ!!』という急ブレーキの音が、(カーラジオのリスナー向けの)ラジオ局から敬遠されそうだからヤメロ」と削除を命じたそうです。結果的には売れたから、全然オッケーだったというわけですね。

続くアルバム「ザ・ギャップ・バンド検廖82年)は前作よりももっと売れて、収録曲ではこれもディスコ定番の「アーリ・イン・ザ・モーニング」(ディスコチャート13位、R&B1位)、「ユー・ドロップ・ア・バム・オン・ミー」(同39位、同2位)、「アウトスタンディング」(同24位、同1位)の特大ヒットを飛ばしました。

「アーリー…」については、「コケコッコー〜」というこれまた有名なイントロの脱力系効果音が特徴なのですが、これは逆に“ラジオ局向け”のマーケティング戦略だったそうです。「朝の車での通勤時間に、ラジオ局のDJに流してもらおう」と考えて挿入したところ、実際にラジオでのオンエア率が上がったのでした。

さらに次のアルバム「ザ・ギャップ・バンド后廖83年)にも、「パーティー・トレイン」(R&B3位)のようなご機嫌な(PVも)ダンサーが収録されていて、非常に楽しめる内容になっております。

この人たちの曲は、とにかく「ぶいぶいシンセと野太いボーカル」で攻めまくりなのが良い。ズシズシ低音が全身を揺さぶり、踊りがいがあるアーチストでもあります。とはいっても、全体的に上品さを感じさせますし、バラードも悪くないと思います。「ザ・ボーイズ・アー・バック・イン・タウン」(79年)のような、フォークっぽい美メロの曲だってあります。

パーラメントとかブーツィー・コリンズのような重量級ファンクのアーチストとも、よく対比されます。でも、彼らについては「あれ?宇宙からの使者さんですか?」的な奇天烈な雰囲気が、私などには「胃もたれ感」をもたらしますね。

ピークは80年代半ばだったギャップ・バンド。ですが、その曲の数々は、90年代以降も、シャキール・オニールをはじめさまざまなアーチストたちによって、カバーないしはサンプリングされて生き続けました。80年代ディスコファンクの代表であることには違いないと思われます。

ギャップ・バンドは激しくCD化されています。中でも、写真の「ファンク・エッセンシャル・シリーズ」の米盤ベストは、選曲と音質面で優れています。同じシリーズで「ギャップ・バンド12インチコレクション」というのもあって、こちらもなかなかの充実ぶりです。