Gary Toms Empire
初期(2年前)の投稿で触れたように、最初のディスコ曲というのは、ヒューズ・コーポレーションの「ロック・ザ・ボート」(74年)やジョージ・マックレーの「ロック・ユア・ベイビー」(同)あたりというのが定説。今回紹介するゲーリ・トムズ・エンパイアも、そんな黎明期のディスコバンドです。とりわけ陽気で、ごきげんなサウンドが特徴であります。

最初にアルバムをリリースしたのは75年。PIP (Pickwick)というマイナーレーベルからの発売ですが、これこそが世界初の「ディスコオンリー・レーコド」といわれています。代表曲は、アルバムタイトルにもなっている「7-6-5-4-3-2-1(Blow Your Whistle)」(全米R&Bチャート5位)。邦題は「7-6-5-4-3-2-1 (ディスコでグー!)」で、いかにも楽しげな曲です。基本はアップテンポなソウル/ファンクなのですが、むやみに笛を吹きまくっているのが、踊りへの情熱をやたらとかきたてますな。

このアルバムにはほかにも、「Drive My Car」(全米ディスコチャート16位)というビートルズのディスコリメイクがあり、これまたザ・ファンキーディスコ!であります。

ゲイリー・トムズ・エンパイアは、8人編成のいわゆる「セルフ・コンテインド・バンド」。シンセサイザーがない分、ホーンセクションからストリングスから何から、すべて頭数がそろっております。リーダーのゲイリーはボーカル担当ですけど、ハープシコード(チェンバロ)とキーボード(クラビネット)も演奏しております。特にキーボードは、いかにも初期のはねるような音(スティービー・ワンダーの「迷信」のような)を出しておりまして、これまた踊りへの情熱をかきたててくれます。

私は10年ぐらい前、ある小さなパーティーでこの人たちの曲を何度かかけました。30代後半以降の層はもちろんノリノリだったわけですが、けっこう若い世代(20代)に大ウケでした。確かに、75年という時代でここまでビートをしっかり刻み、かつ「躍らせる」ための重厚なアレンジを施している曲は、ほかにあまり例がありません。クール&ザ・ギャングにしても、その他もろもろのファンクバンドにしても、どこか大人びた感じがして、ゲイリーたちのように「いけいけ、ドンドン」とはなりません。

私自身は80年代初頭からディスコに通い出したので、フロアではリアルタイムで聴いていません。が、今だって、もしダンクライベントなどでかかれば「全開バリバリレッドゾーンダンス」をやってしまうことでしょう。近くに笛があれば、笛を吹きまくることでしょう。

この人たち、ホントに好きなバンドなんですが、ものすご〜く短命でした。だから知名度もいまいち。アルバムのほかに7インチや12インチを数枚、出しているのですけど、なんとデビューの翌76年には落ち目になっております。やはりマイナーレーベルの貧弱な宣伝力が仇になったようです。「いよいよ大ディスコブーム到来!」という時期でしたから、実力を発揮しきれず、残念なことです。

CDについては、奇跡的なことに、原盤権を買い取ったカナダ・ユニディスク・レーべルが、2枚組みの良質なベスト盤を出しています。「7-6-5…」も「Drive My Car」も、そのほかのディスコの佳曲たちも、けっこうな高音質で入っています。今回は珍しく全面的におススメしてしまいま〜す。ディスコ好きなら必須です(きっぱり)。