2007年02月17日

ストック・エイトケン・ウオーターマン (Stock Aitken Waterman)

ストック・エイトケン・ウォーターマンいやあ、来週また出張になりそうなので、今のうちに……というわけで、今回はストック・エイトケン・ウォーターマン(SAW)!! ハイエナジー&ゲイの流れからすれば、ある意味当然の帰結ではあります。

日本人にとっては、猛烈にバブルな曲の数々。80年代後半に訪れた、美しき放蕩、夢にまで見た似非日本経済王朝期に最もふさわしかったといわざるを得ません。「一期は夢よ、ただ狂え」(「閑吟集」)ならぬ、「踊れや叫べ。ディスコの出番!」てなわけで、もう全国各地に「マハラジャ」が出現しちゃってたころであります。SAWって、そんなアホな雰囲気にぴったりだった気がします。

とにかく私もアホでした。ファッション雑誌「メンズノンノ」とか「チェックメイト」とか買っちゃって、誌面でにっこり笑うモデルの阿部ちゃん(阿部寛)や風間徹を見習ったつもりになって、「丸井」でローンで買ったDCブランド(その多くは今は消滅)の衣料品に身を包み、ディスコに夜な夜な出かけるのでした。

でも、行くのは新宿とか六本木とか渋谷のフリーフード/フリードリンクの店が中心でしたな。ゼノン、リージェンシー、ヴィエッティ、メイキャップ、ウイズ、キゼー(日本発の「お立ち台」を導入)、スターウッズ、ラ・スカーラ……。そんなあたりが出没店でありました。

一方で、有名なマハラジャ、エリアのほか、88年の正月に「バブル崩壊の予兆」として悲惨な機材落下事故を起こしたトゥーリアなどは、一通り行きましたけど、通うほどにはならなかった。服装チェックとかVIPルームとか、今の格差社会じゃあるまいし、庶民の変な優越感を助長する感じも「トホホ」でありました。何しろ、所詮はおバカで陽気なディスコなわけで、もっとラフな格好で自由奔放に踊る方が好みだったわけです。

そんな当時のディスコで、派手やかにかかっていた曲の多くは、SAWのプロデュース作品でした。デッド・オア・アライブ、ディバイン、バナナラマ、リック・アストレー、カイリー・ミノーグ……。いま聴くと、「曲調やっぱどれも似てるなあ」とはしみじみ思いますが、20代前半の気恥ずかしい思い出が確実によみがえります。とにかくフロアは、SAWの大洪水でした。

SAWは1984年、文字通り、英国のストック、エイトケン、ウォーターマンの3人によって結成されたプロデュースチームの名前。プロダクション会社名は、3人のうちピート・ウォーターマンさんの名前をとってPWL(Pete Waterman Limited)です。これまでに紹介してきたイアン・レヴィーン(レコード・シャック・レーベル)とかイアン・スティーブン・アンソニー(パッション・レーベル)などと同様、メロディーは米モータウン・サウンドを源流としたハイエナジーであります。

特に80年代末期になってからの作品は、前期ハイエナジーのよさを踏襲しつつも、もっと複雑かつ多様になっていきます。80年代末〜90年代初頭に定着する「ユーロビート」、さらには「ユーロハウス」などの元祖とも称されますが、こちらはもう私の定義する「ディスコ」の枠外になってしまいます。私の場合、トゥーリアの事故あたりから、リアルタイムのディスコには関心がなくなっていくのでありました。

SAWの曲の中身は、基本的には、シンセサイザーの打ち込みにボーカルを乗せる構成で、万人受けするタイプ。「ストップ・エイトケン・ウォーターマン!」なんてからかって、嫌うムキも多かったのですが、ディスコというものは、ノリがよくてフロア栄えするのなら、まずはオッケー!!。「踊る阿呆たち」の額に流れる汗は、とどまるところを知らないのであります。

実際、欧州やアジアでは、一般チャート上位に入るほどに大メジャー化。本国英国では、80年代後半、カイリーミノーグなどの曲をトップ10にがんがん送り込んでいました。実は、80年代の英国も、サッチャー保守政権の改革路線により、土地の価格が急騰するなどなかなかのバブル景気になっていました。「浮かれた気分はハイエナジー」という標語(?)は、万国共通なのかもしれません。

ただ、凡百のハイエナジープロデューサーとは違い、この人たちはR&B風の曲もけっこう制作しています。私などは、プリンセスという女性ボーカリストの「Say I'm Your Number One」(85年)とか「After The Love Has Gone」(86年)なんて、アダルト向けの名曲だと思います。ディスコでもよく耳にしました。

写真のCDは、彼らの代表作品を集めた豪華3枚組ボックス・セット。シングル・バージョンが多いのですけど、3枚目は素敵な12インチバージョン集となっております。これには、みんな知ってるディバインの「ユー・シンク・ユア・ア・マン」の貴重なリミックス(男性ナレーションが入っている)や、前述したプリンセスのしっぽりR&B「Say I'm Your Number One」、SAW名義でリリースした「ロードブロック」のレア・グルーブ・ミックスなどが収録されております。

ず〜と聴いているとさすがに飽きますが、なぜだか落ち込んだとき、自分をバブリーに盛り上げたいときには最適でしょう。


mrkick at 02:39コメント(5)トラックバック(0)Disco | 80年代後半 この記事をクリップ!

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コメント一覧

1. Posted by bobby_Q   2007年03月09日 14:43
PWLは初期の頃の作風が大好きです。
BPM130前後でガシガシ決めていた頃が・・・・
とはいえ、改めて大きい音で聞くと、そのスタジオワークには関心させられます。
2. Posted by mrkick   2007年03月09日 22:16
BPM130でガシガシ決めていた・・・というのはよ〜く分かります。現場のDJならではのリアルな声ですね。ありがとうございます。
3. Posted by マークFCF   2007年09月13日 05:19
私も彼らのプロデュース作品が今でも好きです。YELLのCDアルバムを現在でもよく聞いてます。レッツゴーラウンドアゲインは名曲だと思います。あとビッグファン、パット&ミックも良いですね
4. Posted by mrkick   2007年09月13日 09:38
コメントありがとうございます。SAWは90年前後から、70年代ディスコのリメイクをよく手がけていました。もはやユーロハウスの世界でして、私は詳しくはないのですが、もっと若い(笑)クラブファン層に人気が引き継がれていったのだと思います。
5. Posted by bobby_Q   2007年10月18日 10:33
ビッグファンは旧セブンスアヴェニューですよw

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