Evelyn Thomasイブリン・トーマスは、80年代のハイエナジーサウンドの代表的な歌手で、1953年にシカゴで生まれました。そのものズバリのタイトル「ハイ・エナジー」(84年)で知られます。彼女にとって、唯一の全米ディスコチャート1位を記録。英国チャートでは5位、全米一般チャートでは85位でした。この手のディスコシンガーとしてはかなりの成績だっといえます。

プロデュースは、イアン・レビーン(Ian Levine)で、80年代にハイエナジーサウンドの曲ばっかり発売していた英レコードシャック・レーベルのヒットメーカーだった人です。まあ、「ハイ・エナジー」自体、今聴いてみたら平凡な曲調だとは思うのですけど、とにかくディスコではかかりまくりでした。

「ハイ・エナジー」はひとまず置いといて、この人はほかの曲に見るべきものがあると思っています。特に70年代の作品がヨイ。78年のデビューアルバム「I Wanna Make It On My Own」(写真右下)なんかは、彼女のルーツでもあるゴスペルの味わいがダイナミックに感じられてなかなか好盤であります。プロデュースはやはりIan Levineで、彼にとっても、ハイエナジーサウンドを量産する前の貴重な音源になっているといえます。

2枚目アルバム「Have A Little Faith In Me」(79年)も同様で、80年代の「いかにもハイエナジー」とは違い、オーケストラの魅力もたっぷり入った好盤だと思います。彼女の声質はこのあたりの曲調の方が合っているのではないでしょうか。これもプロデュースはIanであります。

彼女は「ハイ・エナジー」以降にも、「Masquerade」、「Reflections」、「No Win Situation」といった中ヒットを欧州を中心に飛ばしています。ただし、だんだんと軽めのユーロビートっぽい曲調になっていきますので、なんだかイマイチという印象ですね。

ちなみに、「I Wanna Make It On My Own」のジャケットが妙な肖像イラストだというワケについては、本人が米ディスコサイト「Discomusic.com」(左記リンク参照)の掲示板で、「レコード会社(カサブランカ・レコード)サイドが、『写真うつりが良くない』と言って私の写真を載せなかったの。失礼しちゃうわよね」と語っております。

この人、「ハイエナジー」のビデオクリップをよく見ると、ちょっと“柳沢慎吾”みたい。といっても、写真が却下されるほどではないとは思いますが。

イブリンのCDは各種発売されております。左上写真のカナダUnidiscレーベルのベスト盤が一応、音質もまあまあで推薦盤でしょうか。ファースト、セカンドアルバムのCDは、音質にやや難のある米Hot Productionレーベルから出ています。
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