Debbie Jabobsデビー・ジェーコブズは米国生まれの黒人シンガー。1979年に「アンダーカバー・ラバー」という曲が全米ディスコチャートで6位まで上昇し、名前が知られるようになりました。ディスコプロデューサー兼アーチストであるポール・サブがプロデュースしていています。

79年発売ということもあって、曲調は「ドンドコ路線ばく進中!」といった感じです。ポールがシンセサイザーを好んで使用するタイプだったため、80年代初頭に開花する「ハイエナジー・サウンド」の雰囲気も持っています。

私が今回、この人を選んだワケは、最近になってCDが発売されたからなのでした。発売元は米フロリダのGetdisconnectedというインディーレーベルであるため、日本での入手は困難ですが、米国アマゾンで送料込み20ドルぐらいで買えます。

発売されているCDは、「アンダーカバー・ラバー(Undercover Lover)」(写真上)が入った同名アルバムと、2枚目のアルバム「ハイ・オン・ユア・ラブ」(80年、写真下)の2種。後者に入っている同名タイトル曲は、全米ディスコチャートで見事、1位に輝いています。

2枚とも、80年前後のディスコを象徴するような音を醸していて、私自身はとても気に入っております。つまり、シンセと生音(バイオリンやギターやパーカッションなど)が非常にバランスよく調和しているのです。

デビー自身、ソウルフルな歌唱力を備えており、各曲のメロディーやミックスやアレンジも完成度が高い。このころの乱造ディスコによくみられた、安っぽさを感じさせません。日本では今ひとつ知名度は低いのですけど、機会があれば聴いてみるのも一興だと思っております。

ちなみに、デビーさんには、80年前半ごろに制作した「メイビー・ディス・タイム」という美メロの名曲があります。ところが、著作権上の問題が発生し、ほとんど市場に流通しないまま、お蔵入りになってしまいました。

このディスコ曲は、一般的にはノーマ・ルイス(Norma Lewis)というハイエナジー・シンガーの持ち歌として知られています。詳しい経緯は分かりませんが、デビーとノーマが「私が先に歌ったのよ!!」と争う事態となり、ノーマが勝利したのでした。

「デビー版メイビー・ディス・タイム」は幻のレコードと化し、今ではeBayなどのオークションで、何万円もするほどの高値をつけているようです。ただし、ボーイズ・タウン・ギャングの「ダンス・トランス・メドレー」(日本盤CDもある)の中に、メドレー曲の1曲として収録されていて、ほんの少しだけ聴くことができます。

ですが、米国のディスコ・コレクターのサイトなどをみると、オリジナルの12インチ・バージョンは、「ダンス・トランス・メドレー」中のものよりもっとアレンジが凝っていて、“超名曲”だとの評判なんです。ぜひ一度、聴いてみたいものですな。Debbie Jabobs 2