メン・アット・ワークいやあ何だかこのところ、「ディスコ」という枠からはみ出したアーチストを紹介しているような気も……とはいうものの、今回はメン・アット・ワークです。ロックって範疇の人々かもしれませんが、ディスコで大ウケでした。80年代らしい現象でございます。

ノックは夜中に」(82年)は、私のディスコデビュー直後のころの超定番曲でありました。最初のドラムイントロで、がっちりハートをつかみます。続いて、軽快なサックスの音色が来くるともうフロアは満開。とにかく人気がありました。

全米ディスコチャートでは、堂々の最高33位!と大したことはないけれど、一般チャートでは1位に輝いています。プロモビデオが面白かったので、それもヒットに貢献したのではないかといわれています。MTV全盛時代でしたので。

しかし、この曲には基本的に12インチはない(変なDJ向けミックスはある)ので、3分半ほどでエンディング。踊っていてもちょっと物足りなさが残ります。ただ、フェードアウトではないため、終わるとすぐ、またぞろデュラン・デュランあたりで満開フロアを維持するというパターンは見られました。

このバンドは豪州メルボルンで1979年に結成されました。でも1985年ごろには、メンバーがごそっと抜けて事実上解散。ヒジョーに短命でしたが、ともに全米1位となった「ノックは夜中に」と「ダウン・アンダー」が入った1作目「ビジネス・アズ・ユージュアル」は世界中で2000万枚以上も販売。これでもう一生分ぐらい稼いだということでしょう。

このバンドの大きな特徴の一つはなんといっても、個性派ボーカルのコリン・ヘイでしょう。その声も風貌もなんだか異形な感じ。小林克也が出ていた当時の人気洋楽番組である「ベスト・ヒット・USA」にも出演したのですが、人生を楽しむ秘訣を聞かれて「Make Love…(セックスをしよう…)」と一言、ぼそっと呼びかけていたのを覚えています。

再発CDはたくさん出ています。写真はそのうちの一つのベスト盤。まったく珍しいものではありませんけど、まあ聴いていくうちに、「ああ、これが80年代の音なんだ」と理解できることでしょう。たぶん。