Johnny Hates Jazz80年代後半ということでは、ジョニー・ヘイツ・ジャズも印象深い人たちです。デビューアルバム「Turn Back The Clock」(88年)が大ヒットした後、すう〜っと消えていったという「一作屋」なんですね。

ただし、このアルバムの出来は非常に良かった。特に好きだったのは、「Shattered Dreams」と「I Don't Wanna Hero」の2曲。どちらもミディアムテンポのオトナっぽい曲調で、前者は全英・全米チャートともにベスト10入りし、後者は米ビルボード・ディスコチャートでは19位までいきました。バブル真っ盛りの東京のディスコでもときどき耳にしました、深夜の時間帯あたりに。

「ジョニー・ヘイツ」は英国で友人同士3人によって結成。この変なバンド名は、3人の共通の知人であるジョニーという人物が、ジャズが大嫌いだったことから付けたそうです。テキトーですね。

3人のうち中心人物はリードボーカルのクラーク・ダッチラー。しかし、そのクラークが、このアルバムを出した直後、ソロ志向を強めて脱退してしまいます。残ったメンバーは新しいボーカルを模索したのですが、失敗に終わってしまったというてん末です。バンドではよくあることですけど、ボーカルの抜けた穴は大きかったということですね。

確かに、クラークの声はとても落ち着いていて、耳に心地よく入ってくるタイプで秀逸です。曲づくりは、シンセ音が爽やかに入っていてかつダンサブル。当時はシンプリー・レッド(「マネー・トゥー・タイト・トゥー・メンション」など)レベル42(「レッスンズ・イン・ラブ」など)とか、フォックス・ザ・フォックス(「プレシャス・リトル・ダイヤモンド」のみ)とか、欧州発の似たような人気バンドが多かったような気がしますが、それが時流に乗った音だったのでしょう。

写真のCDはその「Turn Back The Clock」。Turn Back The ClockとI Don't Wanna HeroとHeart Of Goldの代表的な3曲もが、12インチバージョンでも収録されています。ほかにベスト盤も何種類かあります。80年代後半のユルめのディスコを聞きたければ、とてもオススメでございます。朝の寝起きにも合います。