Laid Back80年代の地味〜なディスコヒットとして思い浮かぶのが、レイドバックの「ホワイト・ホース」(83年)。歌詞がほとんどなく、演奏もボーカルもどこか暗くて変てこなんです。デンマークの男2人組というのがなおさら地味ですね。

レイド・バック=「のんびりとした(人)」というぐらいですから、この人たちの曲はぜんぶけだるい感じ。シンセサイザーをバシバシに使っているにもかかわらず、一部の曲は南国のレゲエとか「地中海ムード歌謡(?)」のような印象を受けます。

ヒット曲は、83年発表のアルバムに入っているホワイトホース(米ディスコチャート3週連続1位)のほか、サンシャイン・レゲエ(ドイツなどで大ヒット)が代表的。前者はヘロインの隠語である「ホワイト・ホース」をもじった内容で、後者は文字通りレゲエそのものです。札幌のディスコでは「エレベーター・ボーイ」という、今度はヤケにばか明るくてアップテンポな曲も流行っていました。

その後、ワンライフ(85年、米ディスコチャート10位)というのを出して、人々の記憶のかなたへと消えていきましたが、これについては、リズムやメロディーがなかなかしっかりした佳曲でした。ディスコでも時折かかっていました。

この人たちが米国でちょっと売れた背景には、あのプリンスの存在もあったようです。欧州からやってきた一風変わった曲調のホワイトホースをすっかり気に入ってしまい、「ホワイトホースは、私が聴いたダンスミュージックの中で最高の出来だ!」とふれまわった結果、じわじわと知名度が上がっていったのでした。

実際に当時、この曲とプリンスの同時期の大ヒット曲「When Doves Cry」がカップリングになっている12インチが発売されたこともありました。さらに、ホワイトホースは後に、いくつかのダンスヒットでサンプリングもされています。

レイドバックのCDはあまりないのですが、写真のロシア盤(!?)ベストはけっこう充実しています。音質は良い方で、ホワイトホース、サンシャイン・レゲエ、エレベーターボーイなど、ワン・ライフ以外の主な曲が収録されています。ほかにもベスト盤が何種類か出ています。

ホワイト・ホースは当時、MTVでも流れていました。ローマかどこかの神殿跡を、白人男が動き回るような内容。これもなんだかよく分からなかったのを記憶しています。ちょっと調べてみたら、インターネットで見られるようですね