Saturday Night Feverもう紹介済みかと思ったら、忘れてました。ディスコの基本「サタデー・ナイト・フィーバー」(77年)。サントラ史上最高の2500万枚を売り上げた怪物盤でございます。

中心人物(たち)は、オーストラリア出身の兄弟トリオとして「ニューヨーク炭鉱の悲劇」(67)などのヒット曲を出していたビー・ジーズ。「ナイト・フィーバー」「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」「ステイン・アライブ」など、サントラに入っている大ヒット曲の多くはこの人たちが歌っています。

デビュー当時は「オーストラリアのビートルズ」などと呼ばれていて、バラードの得意なフォークロックなバンドだったのですが、70年代に入って低迷。このサントラで復活どころか、一気に超大スターになってしまったわけです。何しろ、このサントラでビルボード1位になったのが6曲あり、うち5曲がこの人たちなのです。「ナイト・フィーバー」なんて8週連続第一位ですからねえ。

1位に輝いた6曲のうち、残りのイヴォンヌ・エリマン「イフ・アイ・キャン・ハブ・ユー」(78年)も、もともとはビー・ジーズの曲です。後のマイケル・ジャクソン「スリラー」も真っ青の、異常な勢いだったのですね。

ほかにも、タバレス「モア・ザン・ア・ウーマン」(これもビージーズが原曲)、KC&ザ・サンシャイン・バンド「ブギー・シューズ」、ベートーベンをディスコアレンジしたウォルター・マーフィー「運命76'」などなど、ヒット曲ばかりで困ってしまいます。

映画の方の主役は、「ディスコの代名詞」にもなったジョン・トラボルタ。今となっては骨董ものの「白いスーツに開襟シャツ」スタイルが印象的でした。特別、踊りが上手だとは思いませんでしたが、スタイルはさすがに良かった。

あらすじは、ニューヨークの下町に住む若者トニー(トラボルタ)が、ディスコでヒーローになっていく物語……なのですが、全体を通して観るとけっこうシリアスなんです。

トニーはイタリア系白人の庶民の生まれ。普段は金物屋でアルバイトするしがない不良なんですが、踊りが得意。毎週土曜日には、ワル仲間と集うディスコフロアで「スター」に変身します。いろんなヒット曲が流れるディスコのペアダンス大会では、パートナーだった恋人を捨てて、新しく見つけた女性パートナーと練習を重ねて見事優勝します。

けれども、成就しないパートナーとの恋やら、友人の自殺、暴力、セックス、さらには人種問題なんかも絡まってきます。ヒーローであるはずのトニー自身、将来にはぼんやりと不安を抱いていて、退屈な日常から逃れるためにディスコに通っていたはずなのですが、それも解決にはならないことを思い知る……。

「理由なき反抗」をほうふつとさせるような、若者の葛藤を描いた、素朴ながらもなかなか真面目な青春映画だと思いました。

こんな映画みたいではなかったですが、高校生だった私とか私のディスコ仲間にとっても、当てはまる部分があった気がします。当時、私の故郷では、鬱屈した高校生の発散場所は暴走族かディスコといったところ。私はディスコに向かったわけですけど、今思えば、確かにディスコが何かを解決してくれたということはありませんでした。ただ楽しいだけ。何しろ「おばか」ですし。「理由」などないから、「解決」しようもありません。それが若さです(笑)。

写真のCDは10年ぐらい前に発売された日本盤。ジャケットはトラボルタのあの決めポーズ!であります。言うまでもなくどこでも売っていますし、中古なんて4−5百円程度のもの。でも、ディスコ好きなら必須です。