Footloose80年代はサントラの時代でもあったわけですが、その代表格が「フラッシュダンス」、「トップガン」、それに今回紹介する「フットルース」(84年)であります。この3枚、ディスコ/ダンスあり、バラードあり、ロックありといった風に、けっこう似通った構成になっていることが分かります。当時のディスコフロア同様、ごった煮状態なのです。

フットルースはなんといっても表題曲「フットルース」が有名。1曲目から、いきなり踊らせます。軽快なドラムでカッコよく始まり、フェードアウトしないで終わる曲なので、フロアでは最初から最後までかかっていました。厳密なカテゴリー的には「ロック」なのかもしれませんが、ディスコでかかっていたから立派なディスコです。

歌うはケニー・ロギンス。ビルボード一般チャートで3週連続トップでございました。70年代の人気ポップロックデュオ「ロギンス&メッシーナ」のころから活躍していた人ですが、この曲で初の1位を獲得し、大ブレークを果たしたというわけです。

ケニーさんにつきましては、「アイム・フリー」という曲もサントラに入っています。これもフットルースと似たような曲調で、躍動感あふれるロック・ディスコであります。私もフロアで聞いた記憶があります。この人、2年後にあのトップガンの挿入歌「デンジャー・ゾーン」で再びブレイクするわけで、「サントラ男」の名を欲しいままにしていました。

個人的には、「ヒーロー」(ボニータイラー)もなんだか好きですね。緊迫感があって、気分が否応なしに盛り上がる。私たちの年代では、麻倉未稀が日本語で歌った人気テレビドラマ「スクールウォーズ」主題歌として、脳裏に焼きついております。

ただ、タイトルからも想像できるようにちょっと大げさで、ベタベタな曲でもあります。かつてダンクラパーティーでかけてみたところ、「これかよ!」って感じでお客がドン引きだったのを思い出します。

マニアックな話をすると、このヒーローは「クイックサンド」(パイパー・ドリーム)という曲のブレイク部分からつなげると美しい。札幌のディスコ「テレサ・ガリレオ」のDJが当時、よくそのつなぎをしていたのですが、とても自然で、ほれぼれするようでした。もらった録音テープを今でも大切にしています。

フットルースにはこのほか、ロック/ダンス系のヒット曲である「ネバー」(ムービング・ピクチャーズ)、「ダンシング・イン・ザ・シーツ」(シャラマー)、「レッツ・ヒア・イット・フォー・ザ・ボーイ」(デニース・ウイリアムス)、さらにはバラードの大ヒット曲「オールモスト・パラダイス」(マイク・レノ&アン・ウイルソン)も収録されています。

ちなみに「パラダイス」のマイクはラバー・ボーイ、アンはハートのメンバーで、いずれも当時の大人気バンドでした。ディスコチャートの常連のシャラマーやデニースは言うに及ばずです。まことに豪華すぎる顔ぶれで、「金かけてんな〜」というのが印象ですね。

ところで、このフットルース。サントラは最高なんですけど、映画自体はなかなかトホホな内容だったのを思い出します。「米国の保守的な田舎に引っ越してきた都会のダンス少年が、村人の冷たい視線を乗り越えて、派手なディスパーティーを開こうとがんばる…」といったあらすじです。主演のケヴィン・ベーコンの踊りも、派手な器械体操みたいなことはやっていましたけど、特別上手いとは思いませんでした。

写真のサントラCDは昔に発売された古いもので、LPと同じ9曲しか入っていません。最近のやつには、LPには入らなかったフォリナーやジョン・クーガーなどの映画挿入曲を含むボーナストラックが4曲も入っているので、そちらがおススメです。