The Perfect Beat1980年代にどっと出てきたのが、テクノポップとかエレクトロファンクといったジャンルのディスコ。有名なローランドのTR808に代表される優秀なドラムマシーンやシンセサイザーが発売され、ミュージシャンたちがこぞって導入するようになったことが背景にあります。

以前にも強調しましたが、電子音はディスコに非常に合う。何しろ、照明も異空間的イメージのフロアも、「電気」だらけでしたからねえ。サウンド的にも、エレキギターのようなのはちょっと別ですが、おおむね「電気」はしっくりくるわけです。

あの70-80年代のケバい七色のフロアと比べれば、現在のクラブのインテリアや照明はやや暗く、モノトーンな感じです。当時のディスコの電力消費量は、今思うと、ネオンサインまばたくパチンコ店並みだったかもしれませんな。

リズムをかっちりくっきり正確に刻む。生音にはないハイパーな響きと旋律で、非日常の踊り空間へと誘う……それがシンセやドラムマシーンの音です。シンセポップやエレクトロファンクというのは、その特性を存分に生かそうとした一つの試みでした。

で、今回紹介する米国盤CD「The Perfect Beats」は、数あるエレクトロファンク/ディスコのコンピの中で、最大級に出来が良いと思っているものです。4枚シリーズで、いずれも80年代前半の珠玉の作品ぞろいです。

12インチのロングバージョンが多く、しかもあまりにありふれた曲は省いているのがいい。収録アーチストはニューオーダーのようなニューウェーブからアフリカ・バンバータのようなヒップホップ系までバラエティに富んでいます。

写真はその4枚のうちのVol.3。個人的に好きなXena「On The Upside」(83年)とSeidah Garrett「Do You Want It Right Now」(85年)とAlisha「All Night Passion」(84年)が入っているんです。

特にAlisha(アリーシャ)は、後に「Baby Talk」(85年)というディスコ系の大ヒットを飛ばして日本でもお馴染みになるのですけれど、私は、このオールナイト・パッションの方が好みです。ベイビー・トークに比べてマイナートーンの曲調となっており、やや大人びて渋めの仕上がりになっております。原盤のレーベルは、Fonda Raeなどのエレクトロファンク系の名曲を当時、数多く出していたVanguard(ヴァンガード)です。

Vol.3にはこのほか、80年代を通してのエレクトロファンク系の代表曲「レット・ザ・ミュージックプレイ」(83年)で知られるシャノンの2番目のヒット曲「ギブ・ミー・トゥナイト」(84年)も、6分超バージョンで収録されています。

耳をつんざくハイハット、しつこいぐらいのディレイなど、今と比べればやはりチープさは否めませんけれど、そこがレトロ人間にはちょうど良い。考えてみれば、このころの電子音ディスコは、その後のヒップホップ、ハウス、テクノ、R&Bの「4大クラブミュージック」のすべてのルーツになっているともいえます。このパーフェクト・ビーツ、全部そろえても損はないハズだと思っています(絶賛!?)。

ちなみに、Alishaに限っていえば、下右写真の「Alisha」(そのまんまのアルバムタイトル)が断然おススメ。オールナイト・パッションの2種類の12インチバージョンと、ベイビー・トークのロングバージョンが入っています。中古でまだ比較的、安価で手に入るようです。アリーシャ