Beat Street (ビートストリート)突然のヒップホップ系であります。だいぶ前に、映画「ブレイクダンス」のサントラを紹介しましたが、この「ビート・ストリート」も同じ80年代半ばを代表する、ばりばりのB-Boy/オールドスクールのヒップホップ映画でありました。

ブレイクダンスってなかなかマニアックな世界で、やってる人々は、ニッカポッカみたいな(?)太いだぶだぶのズボンを着用たり、頭にタオルみたいなものを巻いたりして、まるで左官屋さんみたいな独特の格好が多かった。ディスコのフロアの一角に陣取って、2−3人のグループで練習している風景をよくみかけました。

私もロッキング、エレクトリック・ブギー(ロボットダンスみたいなやつ)といった「立ち技」を中心によく練習したものです。一方の床技(寝技)の方も、体操選手みたいにぐるぐる回るウインドミルやらバック宙やら、結構練習しましたが、あまりにもアクロバチックだし、場所を陣取ってしまう踊りなので、途中でやめてしまいました。

現在でも、若者たちの間で、こうした踊りの発展系が盛んに行われているようですが、いやあ、激しく進化していますね(非常に良いブログがあるのでご参照)。動きは高速かつ複雑になり、だんぜんカロリー消費量が違いますよ。たいしたものだと思います。ただ、ここまで来るとリズムに合わせた「踊り」「ダンス」といえるのかどうか、疑問は残ります。

ビートストリートは最近、発売されたブレイキンという4枚組DVDセットに入っています。先述の「ブレイクダンス」と続編「ブレイクダンス2」、さらにはヒップホップ文化を解説した特典DVDまでついているという、まさに奇跡のような内容になっています(断定)。

「ブレイクダンス」はちょっとストーリーが大衆ウケ狙いでトホホなチープさを醸していますが、「ビートストリート」の方はNYブロンクス地区での「友情」や「貧困」なんかを織り交ぜた、結構硬派な内容になっています。踊りについては、双方の役者ともにまずまずの動きを見せています。

ヒップホップ系映画ではほかにも、「ワイルドスタイル」というのがありましたが、これがそろえば、80年代前半のヒップホップ文化はかなり網羅されることでしょう(再び断定)。

この映画群の最も良いところは、何と言ってもサントラです。「ビートストリート」についても、隠れた名曲が目白押しなんですよ。ヒップホップとディスコの架け橋的な存在だったプロデューサーであり、ディスコリミキサーとしても著名だったアーサー・ベーカーが参加した本格的な内容。シュガーヒルレーベルばりのラップ系ばかりではなく、ポップ調やブラコン調の曲も入っていて楽しめます。アーサーベーカーといえば、前々回投稿のニュー・オーダーでも名前が出てきましたね。

写真のCDは、ベルギー盤の15曲入り。元のLPはVol.1と2の2枚が出ていたのですが、それらを合体させて、2曲ほど省いた上で1枚のCDに収録しています。音質は最高クラスで、曲自体を途中でカットするなどの小細工をしていないのが好感持てます。王道ブレイク曲の「ブレイカーズ・リベンジ」(アーサー・ベーカー)とか、物悲しい感じが逆に良い「ナッシン・ゴナ・カム・イージー」(Tina B)なんてところがおススメであります。

でも、こうした昔のヒップホップ系映画のサントラCDは入手が難しいことが多い。海外のネットオークションなんかでもバカ高い値段が尽きがちです。「ブレイクダンス」のポリグラムのオリジナルCDなんて、落札価格が160ドル(約1万9000円)なんてこともありますから。「ビートストリート」だって、今では1万円近くします。アホらしいことではありますが、廃盤になって久しいので、仕方ないのかもしれません。

ディスコやソウルのレトロな再発モノは、日本のレコード会社もときどき出しているようなので、ヒップホップ系サントラについても期待したいところですな。だって内容は良いし、音楽文化的価値だってあると思います。

もし、中古CDのワゴンセールなんかで、「ブレイクダンス」やら「ビートストリート」やらのオリジナルサントラが見つかったとしたら……間違いなくお宝であることでしょう。