New Orderニューオーダーを初めて耳にしたのは1983年。確かNHK‐FMの番組「リクエスト・コーナー」で、英国チャートの特集をやっていたときでした。迫力あるダンスビートに巧みなシンセサイザーが絡み合う斬新な音。聞いた途端に好きになりました。ディスコでもずいぶんリクエストしたものです。

シングルでのみ発売された「ブルー・マンデー」はこの年、間を置いて12位と9位に2度もチャートインしています。バンド自体は76年、イアン・カーチスをボーカルとするインディ系の伝説バンド「ジョイ・ディヴィジョン」として出発。その後、イアンが女性問題などを背景に自殺し、残ったメンバーでニュー・オーダーを結成しています。

ブルー・マンデーは、イアンの死をテーマにしたといわれています。ですから、ちょっとアンニュイな気分が漂うアンダーグラウンドな音を特徴としています。ボーカルのバーナード・サマーの声も、「本当にやる気あんのか!!!」ってぐらいに実にけだるいものです。

でも、基調となる音自体は、当時のハイエナジー・サウンドにも通じるような、非常に明るくてダンサブルなものでした。私は「う〜ん、ハイエナジーとこの手の暗い声も、けっこう合うものだな」と密かに感心しながら踊っていたものです。

この頃のニュー・オーダーでは、ブルー・マンデーとほぼ同時期にリリースされた「コンフュージョン」も佳曲でした。少し遅めで「元気よく踊るぞ!」という訳にはいきませんでしたけれど、またもやシンセの使い方が格好よかった。この曲のプロデュースは、ジェリー・ビーンと並ぶ「80年代ディスコリミックス王」アーサー・ベーカーです。実はそのジェリー・ビーンも、ミキサーとして参加しているという貴重盤でもあります。

ニューオーダーは言うまでもなく、その後90年代、さらに現在も第一線で活躍するテクノポップ/ロックの帝王的存在ですが、やはりブルーマンデーやコンフュージョンが原点です。このころの曲は、今聞いてもなかなかのもの。一過性で終わらなかった実力派ニューウェーブバンドの代表例だと思います。

写真のCDはベスト盤「インターナショナル」。80年代の曲の12インチバージョンが比較的多く入っていておススメです。