テイスト・オブ・ハニーテイスト・オブ・ハニーといえば、ビルボード一般チャート、ディスコチャートでともに1位となった「今夜はブギ・ウギ・ウギ」(78年)。米国だけではなく、英国や日本でも同じぐらいに人気が出たアーチストです。昔やってた「東京音楽祭」で金賞を取ったこともあります。

このグループの中心を担うジャニスとヘーゼルという女性2人が、歌うだけではなくて、ギターとベースをそれぞれ自分たちで弾いていたのが特徴でした。「今夜は…」は、イントロの「ボボボボボン」というベースラインだけで、「あの曲だ!!」と分かってしまうシンプルさを持ち合わせています。踊るにはちょっとかったるいのですが。

彼女たちは、70年代後半に登場した割には一発屋ではなくて、後にオールドスクール・ラップの名曲「ザッツ・ザ・ジョイント」(ファンキー4+1)の元ネタになった「レスキュー・ミー」(80年)のほか、一般チャート3位まで駆け上ったスローバラード「スキヤキ」(81年)を世に送り出しています。私にとっては、実はダンス系ヒットよりも、この「スキヤキ」の方が記憶に強く残っています。

「スキヤキ」は、いうまでもなく永六輔・中村八大コンビが作詞・作曲し、坂本九が歌った63年の全米No.1ヒットのリメイクです。ただし、歌詞はジャニスが創作したもの。アーチスト情報サイト「ソウル・ウォーキング」によると、リリースをめぐっては、曲の権利をめぐって日本側とひと悶着があり、なんとか発売にまでこぎつけたのだといいます。80年ごろの来日時には、坂本九と一緒にツアーを回ったこともあるようです。

リメイクのスキヤキはディスコではなく、チークタイムにうってつけのスローバラードだったのですが、日本がらみの珍しい全米ヒット曲だったので、私も当時、愛読していた雑誌「FMファン」でFMの番組表を見て、「エアチェック」によって録音しました。最後に「サヨナラ…」とささやいて、余韻を残して終わる印象的な佳曲でした。

ジャニスが作った歌詞は、「あなたはもう戻ってはこないのね〜」みたいな一般的な男女の別れの曲なので、原曲の「上を向いて歩こう」とはまったく違います。米アマゾンドットコムの坂本九のCD紹介サイトで、日本語に通じた米国人とみられるレビュアーが「この曲は詩こそが魅力的なんだ!!」といって直訳の英訳を試みているのですが、こっちのほうが断然いいんです。

ビルボードファンでもある私は、日本人で唯一、全米1位を獲得した坂本九には特別の敬意を抱いているので、テイスト・オブ・ハニーも直訳でやってほしかったと思います。

写真のCDは、「テイスト…」の数あるベストの中で、私が最も網羅的で出来が良いと思っている2枚組です。「今夜は…」の珍しい12インチバージョンが収録されていておススメです。