キャロル・ダグラスディスコ・ディーバなる言い方は米国でもよくされている。ドナ・サマーがダントツのトップにいて、次がグロリア・ゲイナー。そして三番手あたりに、今回紹介するキャロル・ダグラスが入ってくる。

日本では「Doctor's Orders(恋の診断書)」で有名になりましたが、この曲は74年発売。歌手名の発音が似ていてまぎらわしいカール・ダグラスの「カン・フー・ファイティング」やジョージ・マックレー「ロック・ユア・ベイビー」と並ぶディスコ黎明期のヒット曲なのです。

キャロルはもともとThe Chantelsという黒人人気ガールポップ・グループのリード・シンガーを務めていた人物で、恋の診断書がソロデビューとなった。リメイクのヒットが多く、この恋の診断書のほか、「恋のナイト・フィーバー」、「ダンシング・クイーン」、「ハートに火をつけて」などもそうです。

現在は俳優としても活躍している彼女は、70年代は美形のアイドル的存在だったようです。確かに声が「女の子系」で、曲調もやや軽め。でも、いずれの曲もバイオリンなどのストリングス、トランペットなどのホーン・セクション、そしてドラムがしっかり役割を果たしていて、70年代特有の「古きよきアットホームディスコ」ぶりを発揮してくれています。

私にとっては、81年の「マイシンプルハート」が最も印象深い。スリー・ディグリーズが79年に飛ばしたヒットのリメイクですが、80年代に入ってからのリメイクなので、適度にドラムなどが「電気化」されていて、非常に踊りやすいのです。フロアの照明が明るめになって、盛り上がっていたのを思い出します。

現在の彼女はもう57歳というおばさん。それでも、インターネットなどではときどきインタビューで登場しています。最近新曲を出すなど、まだ歌い続けているようです。