アーサ・キットアーサ・キットは屈指の異色ディスコ系アーチストである。1927年生まれ。50年代から長くジャズ歌手として活躍し、その後、80年ごろからディスコの曲を発表するようになった。猫がゴロゴロ喉を鳴らすようにして歌う独特の妖艶さ漂う唱法は、今も(私のような)好事家を魅了してやまない。

40年ほど前には、「Sho-Jo-ji(The Hungry Racoon)」という変な曲を発表し、日本では話題になった。文字通り、あの「しょ、しょ、しょーじょーじ…」の童謡が原曲なのである。副題の「腹ペコアライグマ」というのも可笑しい。薄気味悪さと妖しさに満ち溢れた、ユニークな歌手である。ジャズ出身だけあって、歌唱力もなかなかのものである。

さらに、米国では昔、人気ドラマ「バットマン」の猫女(キャットウーマン)役で出演もしていたのである。いやはや話題に事欠かない人だ。

ディスコについては、84年発表のWhere is My Manがヒットした。猫ゴロゴロ唱法の面目躍如で、ミィデアムテンポでアンニュイさをかもし出すメロディーに乗せて、随所に「ゴロゴロ」が出てくるのである。踊るにはどうかとは思うが、札幌のディスコでたまにかかっていた。面白い曲である。何だか癖になるのである。

次に出したI Love Manもなかなかよかった。けだるさがやや抜けて、明るめのハイエナジー風に仕上がっている。さびの部分が前作よりも印象的で親しみやすい。私としては、こっちの方が好きだ。この人はその後、86年にもThis Is My Lifeという曲を発表し、欧州のディスコではけっこう流行った。

写真は、ディスコ期を中心としたユニディスク盤のベストアルバムCDだが、50〜60年代のも数多くある。欧米での評価はなかなか高い。ジャズ、ディスコ時代ともども、ほかに類を見ないユニークさを考慮し、私としては一応、オススメアーチストの部類に入れている。