Amanda Lear前回紹介したミックスCDを聴いているうち、「そろそろ取り上げなきゃな」と思ったアーチストの曲が出てまいりました。“おとこおんなディスコスター”の名をほしいままにしたアマンダ・レアさんです。

もう我慢できないので正直に言ってしまいましょう。この人の声は気持ち悪いです。「なんでこんなのが売れたんだ?」と思うことウケアイなのですね。逆に「これがたまらない」という人も多いみたいですが(だから売れた)、私はちょっと無理です。歌声や容貌からも察することができるように、性転換者であるとの噂が常につきまとっている人ですし(真相は不明)。

しかーし! アマンダさんは偉大な人なのでした。経歴的にはかなりのセレブです。まず、あのシュールレアリズム美術の巨匠ダリの「公然の愛人(パートナー)」だったというのが大きい。さらに、デビッド・ボーイやブライアン・フェリーの愛人だったという過去もあります。自身も、もともとスーパーモデルから歌手に転向していますし、絵画の才能もある人です。女優、作家、テレビのコメンテーターとしても活躍しています。英、仏、独、西、伊の5カ国語を話します。とても多芸です。

アマンダさんは1946年生まれ。出生地は香港で、フランス人の父と中国人の母との間に生まれたとされています。その後、フランスに移り住み、モデルとして成功を収めた後、歌手としてもディスコの大ヒットを次々と世に送り出したのでした。

代表的なヒット曲は、「Blood & Honey」(76年)、「Queen Of Chinatown」(77年) 、「Enigma (Give A Bit Of Mmh To Me)」(78年)、「Follow Me」(78年)などで、70年代後半に集中しています。私自身はディスコで聞いた記憶はありませんが、「変てこセクシー」な低音の歌声は、少年期からラジオなどで耳にしていました。

確かにキワモノ的要素が強いアーチストではありますが、歌手よりも曲が強調されがちなディスコ界にあっては、「歌手そのものがキャラ立ちしていた」という意味で稀有の存在だったといえるでしょう。まあ一応、特に欧州では大スターだったのでからね。

ダリとの関係という点では、1986年に「My Life With Dali」という告白本を出版しており、そこで巨匠との生活を赤裸々に描いています。古本が高いので、私はまだ読んでいませんが、数々の奇行でも知られたダリだけに、それなりにエグい内容になっているといわれています。

この人のCDはあまりいいのがなかったのですが、2年前に発売されたドイツ盤の3枚組ベスト(写真)の内容が一番よいと思います。1枚通して聴くことすらキツいとはいえ、前述の「Enigma」とか「Queen Of Chinatown」とかは、一風変わった欧州ディスコという風情で、わりあい気に入っております。