2008年07月10日

ザ・フラーツ (The Flirts)

The Flirts久しぶりに"シンセサイザーたっぷり"系ディスコを取り上げましょう。ご存知ボビー・オーランド(ボビー・オー)がプロデュースした"秘蔵っ子"で、こてこてハイエナジー・ディスコの女性3人組「フラーツ」であります。

この人たちは80年代初頭、ニューヨークで結成されました。単純にボビーOがNY在住だったからですが、欧州や米西海岸で人気だったハイエナジー系にしては珍しいことです。「NY発ハイエナジー」であることから、ディスコブーム後のアメリカの代表的なダンスミュージックであるフリースタイルの要素も取り入れられています。

発売した新作アルバムは、ディスコアーチストとしては多く計5枚。女性3人組ディスコということで察しがつくように、歌詞も容姿もセクシー路線なわけですが、メンバーはころころ変わりました。どちらかというと、本国アメリカよりもヨーロッパでの人気が高かった人たちです。

代表曲は、82年のデビューアルバム「10¢ A Dance」(テンセント・ア・ダンス)からのシングルカット曲「Passion」(82年、全米ディスコ21位)のほか、同時期のハイエナジー&イタロヒット「Slice Me Nice」(Fancy)に似た、というかあからさまにパクったとされる(もともとボビーOはちょいパクリの名手)「Helpless」(84年、同12位)、「You & Me」(同1位)、「New Toy」(同5位)、「Danger」(83年)あたりです。若きニコラス・ケイジが出演した青春映画「ヴァレー・ガール」(83年)にも使われた「Jukebox」(82年、同28位)というのもありました。

異色なところでは、83年発売のアルバム「Born To Flirt」に入っている「Oriental Boy」というのがあります。直訳すると「東洋の男の子」ですが、歌詞に「スシ」「ソニー」「トヨタ」「サヨナラ」などの日本語が次々出てくるため、対象はモロ日本人だとわかります。内容は「すしバーで出会った東洋人に恋したけど結局フラれちゃったよ〜ん」と嘆く米国人女性の恋物語ですが、これってかつて紹介したアネカの「ジャパニーズ・ボーイ」とおんなじ展開です(トホホ)。

私自身は、中でもパッション、ヘルプレス、ユー・アンド・ミーを当時のディスコで耳にしました。好きなボビーO作品ということで、もう手放しに興奮し、フロアを駆けずり回って踊りまくった記憶があります。特にユー・アンド・ミーのイントロは、マドンナの「イントゥー・ザ・グルーブ」を彷彿させるカッコよさです(ていうか、これもちょいパクった?)。

ボビーOは多作のプロデューサーとして知られ、ピーク時の80年代前半には年間数百枚の12インチをプロデュースしたと言われています。「作品1曲をミリオンセラーにするより、200曲を5000枚ずつ売る方が好きだ」という本人の有名な言葉があり、実際にその通りの活動ぶりでした。もの凄くたくさんのアーチストを手がけているわけですが、このフラーツは「Shoot Your Shot」などのヒットで知られるディバインと並んで、長く深く付き合ったアーチストでした。

その期間は、82年のデビュー時から、ボビー自身がサンプリングなどの新しくて手間要らずの打ち込み音楽に嫌気がさし、音楽活動と距離を置くようになった92年ごろまでです。フラーツはドラムマシーン&シンセサイザー満載の典型的な"ボビーO"サウンドではありますけど、まだ電子音楽も素朴な時代でしたし、ギターやパーカッション(カウ・ベル)などの生音も少々入っているので、ほどよい手作り感があります。

フラーツのCDは、カナダのユニディスクレーベルから各種発売されています。どれも音質は良好で、ロングバージョンもふんだんに含まれています。上写真はその一つの「10¢ A Dance」で、「パッション」「ジュークボックス」「Calling All Boys」などが入っています。

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コメント一覧

1. Posted by cj.   2008年07月14日 22:09
5 パッション最高ですね。
イントロ部分が以上に長いバージョンがあります。これがかっこよかった。 


フランキーの「リラックッス」のNEWYORK remix が同じ作りで追随。(原曲より格好良いです)

またちょっと違う所でレベッカの「フレンズ」、曲間の電子音に注目して聴いてください。

 http://jp.youtube.com/watch?v=eBVvQGvAvMI  

Clubjack.

2. Posted by mrkick   2008年07月15日 00:52
コメントありがとうございます。フランキーはどの曲もミックスがたくさんあって、どれがどれだか分からないほどでした。New York Mixは今聴いてみたら、オーソドックスなバージョンのようですね。"和製マドンナ"レベッカも懐かしさ満点であります。
3. Posted by bobby_Q   2008年07月15日 18:24
ついに出てきましたね、フラーツ。

確か国内盤のライナーで、フラーツのメンバーの髪型は、
世のアメリカ男性の欲望の象徴。という下りを読みまして、
なるほどと思った記憶があります。

初期のGOGOSパクリっぽい曲から最後まで曲のクオリティは高かったアーチストでありました。

4. Posted by mrkick   2008年07月15日 23:45
コメントありがとうございます。フラーツの髪型は、(当時の)日本人男性の欲望の象徴でもあるのでは(笑)???。いやあ、たっぷりお下劣なところが私は好きなのでありました。
5. Posted by cj.   2008年07月17日 23:32
5
もう一丁です。
この後、同じ女性3人組みで COMPANY B って名の
グループがいます。フラーツに似てる?

このグループのアルバムは聴き流しでかけるといいっすよ。チープな音使いが最高です。

超一級レアで捜索困難ですがアルバムタイトル「GOTTA DANCE」はプレーヤーにとってはストック価値大で
現在でも好盤の一つです。

メジャーな所ですが COMPANY B / Company B. Fascinated Remix をどうぞ

http://jp.youtube.com/watch?v=VwRDpAzdwG0

                   Clubjack.
6. Posted by mrkick   2008年07月18日 16:49
コメントありがとうございます。Company Bも80年代後半のフリースタイルで懐かしいですね。単調なところが逆に引き込まれるのかもしれません。テイラー・デインあたりも思い出します。

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mrkick (Mr. Kick)
本名・菊地正憲。何かと誤解されるディスコを擁護し、「実は解放と融合の象徴だった」と小さく訴える孤高のディスコ研究家。44歳。本業は雑誌、論壇誌、経済誌などに執筆する元新聞記者のジャーナリスト/ライター。踊る機会はめっきり少なくなったが、CD&レコードの収集は28年前から地味〜に続行中。アドレスは↓
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