2008年07月15日
ディバイン (Divine)
ディスコ界には奇人変人がいっぱいいますが、極めつけは何といってもディバインでしょう。「ドラッグ・クイーン」(女装好きのゲイ)の元祖! 太った風貌といい、きらびやか過ぎる服装といい、過激な言動といい、常識の範囲をはるかに越えていました。ディバインさんは前回紹介のフラーツと同様、80年代前半から中盤にかけて、ボビー・オーランドのプロデュースでハイエナジーのディスコヒットを量産しました。「Native Love」(82年、全米ディスコチャート21位)、「Shoot Your Shot」(82年、同39位)、「Love Reaction」(83年)、「Shake It Up」(83年、イントロがニューオーダーの「ブルー・マンデー」そっくり)などがよく知られています。声はだみ声ですし、はっきり言って下手です。チャートアクションもさほどではないのですが、記録よりも記憶に残るアーチストです。
1945年イギリス生まれ。幼少時から太った変わり者でいじめられっ子だったディバインは、学校を出て一時美容師になったものの、数年後には辞めて俳優の道に進みました。当初からキワモノ役者の扱いでして、72年には伝説のカルトムービー「ピンク・フラミンゴ」に主演し、一気に名声を高めました。
「伝説」「名声」といっても、そこはキワモノ変人の面目躍如。この映画はいまだに悪趣味、下品の頂点とも言われる低俗なコメディーでして、殺人からレイプからスカトロジーまで、卑劣な人間像が極限まで表現されています。その中でディバインは、なんと「犬の隣に座り、その糞を食べる」という有名なシーンまでやってのけています。本人は少しイメージを変えようと努力した時期もあったようですが、ここに完全に変態としての地位を確立したわけです。
私も20年ほど前にこの映画を観たことがあります。やはり今でも印象に残っているのは「糞食い」シーンですね。どうやら本当に食べているのですよ!これを見て吐き気を催さない人がいたら不思議です。
さて、そんなディバインさんを、「非常識オッケー」のディスコ界が見逃すはずはありません。試しに曲を発表したところ、特にゲイたちに人気のハイエナジーの世界ではヒーローとなりました。明らかに怪しいルックスと特徴的な声は、世界中のフロアを熱狂させたのです。
もちろん、彼を音楽的に育てたのはボビー・オーランド(ボビーO)にほかなりません。ボビーO自身、若いころはボクサーを目指したものの顔がプリティーフェイス(童顔)だということで断念し、後に売れっ子音楽アーチスト、弁護士にまでなったという世にも珍しい経緯をたどった人です。すっかり意気投合し、人気曲をどんどん世に送り出したというわけです。
私などはとりわけ「Shake It Up」には熱中しました。12インチの怪獣みたいなディバインが載ったジャケットには毎晩うなされたものの、ドラムなしのシンセのイントロから始まり、ドラムボックス、パーカッションが加わって少しずつドライブ感が増していうというボビーOの典型パターンにはハマりました。
ところが、ディバインは84年に突然、ボビーと袂を分かつことになります。当時頭角を現していたハイエナジー/ユーロビートのプロデュースチームで、デッド・オア・アライブやカイリー・ミノーグなどを手がけたことで知られる「ストック・エイトケン・ウォーターマン」(SAW)とのコラボレーションを選択したのでした。やっぱりディバインさん、もっと売れたかったのでしょうね。
SAWとのコラボでは、「You Think You're A Man」(84年)、「I'm So Beautiful」(同)などのド派手系のヒット曲を出しました。アメリカでは今ひとつでしたが、それ以外の欧州や豪州や日本では大人気でした。私自身、この2曲ともディスコではよく耳にしたものです。
80年代後半は歌手としては失速したものの、相変わらず破天荒なタレントぶりを発揮。テレビや舞台で手堅く活躍していたのですけど、88年3月、仕事で滞在していた米ロサンゼルスのホテルで急死。もともと肥満からくる睡眠障害、呼吸障害、心臓肥大などの状態になっており、それが死の原因だったといわれています。
享年42。あっけない幕切れとなったドラッグクイーンですが、空前絶後、どうしたって忘れようもない愛すべき超個性派ディスコ・クイーンでもありました。
CDはベストを中心に比較的たくさん出ています。写真のDelta Blue盤「The Best of Divine」の音質がよく、選曲も網羅的でよいかと思います。CDではなかなか見つからない「You Think You're A Man」の編集なしの完全ロングバージョン(8分)は、英Pickwick盤のベスト「The Cream Of Divine」などに収録されています。もう一つ、「You Think…」については、ナレーション入りでなかなかカッコいいリミックスバージョンが「Stock Aitken Waterman Gold」という3枚組コンピに収録されています。
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コメント一覧
1. Posted by bobby_Q 2008年07月15日 18:29
ものの本には、ユーシンクユアマンの12”裏面ジャケの
タキシード姿こそが、ディバインの真の姿で紳士である
なんて記事も目を通した事があるんですが、
どっちだかわからなくなってきました(笑
自分も20年程昔、通向け映画をかける小さな映画館で
ピンクフラミンゴを見ました。
あの時は満員御礼でいつもガラガラな映画館が爆笑の渦でした。
PWLとくっついた後に、ウォークライクアマンやハードマジックを出して、日本ではそこそこ流行ったものの、
海外ではイマイチで、その後は泣かず飛ばずでしたね。
タキシード姿こそが、ディバインの真の姿で紳士である
なんて記事も目を通した事があるんですが、
どっちだかわからなくなってきました(笑
自分も20年程昔、通向け映画をかける小さな映画館で
ピンクフラミンゴを見ました。
あの時は満員御礼でいつもガラガラな映画館が爆笑の渦でした。
PWLとくっついた後に、ウォークライクアマンやハードマジックを出して、日本ではそこそこ流行ったものの、
海外ではイマイチで、その後は泣かず飛ばずでしたね。
2. Posted by mrkick 2008年07月15日 23:39
コメントありがとうおざいます。このブログは一応「マニアックとビギナーズの間」を目指しているわけですが、この辺はボビさんにとっては超序の口でしょうね。いろんな思い出がおありだと思います。今度さらにエピソードをお教えくださいませ!
3. Posted by yuki 2008年07月16日 10:53
この人、最近は逢えてないけど妻と子供がいるんだ、みたいな事を日本のドキュメンタリーで語ってるのを見た記憶があります。あの風貌の裏にはたくさんのドラマがsるようです。
にしてもあの風貌で「i'm A beautiful」は強烈ですね。
にしてもあの風貌で「i'm A beautiful」は強烈ですね。
4. Posted by mrkick 2008年07月16日 13:51
コメントありがとうございます。良くも悪しくも「伝説の人」ですから、結婚・子供説もうなずけます。実際は生涯独身だと私は思いますが、確信はありません。ディバインには伝記が2冊出ていますので、それを読めば分かるかもしれません(私はまだ読んでません)。



