Suzy Qあれよあれよという間に今月も半ば過ぎ――というわけで新年一発目はスージーQであります。コンピューターボイスをあしらった不思議ちゃんディスコ「Get On Up and Do It Again」が、81年に全米ディスコチャート4位まで上昇しました。

この人の本名はミッシェル・ミルズ(Michelle Mills)といいまして、80年代初頭を彩ったライムトランスXジノ・ソッチョたちのちょっと後をゆく感じのカナディアンディスコの補欠的存在です。

でも、上記の代表曲は一風変わった味わいを醸し出していますし、何よりも少なくとも一発屋ではない。この後、「With Your Love/Tonight」(同チャート12位)とか、少々派手やかな「Computer Music」、Suzi Laneの79年のヒット曲のリメイク「Harmony」といった後続ディスコヒットを世に送り出してはおりますな。本国カナダのユニディスク・レーベルからベスト盤CD(写真)も出ております。

私としては、当時のディスコでも聞いた「Get On Up…」もさることながら、「Can't Live Witout Your Love」(86年)も印象深い。これは私が札幌から上京し、六本木デビュー(トホホ)したてのころのヒットでして、「なんかええなあ」と感じ入り、いまはなき渋谷の輸入盤店Ciscoに駆け込んで、アトランティックレーベルの12インチを購入した記憶があります。このころヒジョ〜に流行した哀愁ユーロ調でして、六本木リージェンシーあたりで頻繁に耳にいたしました。

この曲については、クレジットが「Suzy」となっており、「Q」が抜けております。これは同時期にバカ売れした「Two Of Hearts」(86年、ビルボード一般チャート最高3位)を歌った「ステイシーQ(Stacey Q)」との混同を避けるためだったとされています。

まあ、この人の解説は大体このあたりで終了〜なのですが、最も売れた「Get On Up」については余談があります。この曲は明らかにボーカルの違うバージョンがいくつかあったのですが、そのうちの一つがキャロル・ジアーニ(Carol Jiani)というかなりメジャーなナイジェリア人ハイエナジーディスコ歌手がボーカルを担当したのでした。この人自身、「ヒット・エンド・ラン・ラバー」(81年。ディスコチャート4位。強引に訳すと“ヤリ逃げ野郎”!)という「曲はいいのに何だかトホホ」なディスコヒットを飛ばしています。

実は、キャロルがレコーディングしたことはレコード会社との契約の関係上、極秘にされていて、レコード自体にもクレジットはありませんでした。けれども、当ブログのリンク集にもあるディスコサイト「Discomusic.com」で2年ほど前、いきなりキャロル本人が投稿者として何度も登場し、この事実を打ち明けたのです。「あの時はだまされたのよね。でも、後で自分の名前で録音し直したからいいワ」と語っておりました。

なんていい加減なディスコスゥィーン!! ……まあ、たいていの人にとっては、「Get On Up」の「影武者」としてキャロル・ジアーニがいようがいまいがどうでもいいことですが、私のような“おっぺけディスコ野郎”にとっては、こんなサマツなことがとっても気になっていたのでありました。

……ということで、今回は画面写真付きでYouTubeの「Get On Up」を2バージョン、紹介しておきましょう↓ 次回以降も、80年代にちょっとこだわろうと思っておりま〜す。

<Suzy Qバージョン>


<Carolバージョン>