Third Worldレゲエディスコの最後を飾るのは、サード・ワールドです。「Try Jah Love(邦題:ラブ・アイランド)」がなんといっても代表曲で、“熱帯海洋性ディスコ”でもあるだけに、日本ではサーファーディスコの定番でもありました。

この人たちの歴史は古く、1973年、同じく老舗レゲエバンドのインナーサークルのメンバーらによって結成しました。70年代は保守本流のルーツ・レゲエを中心にした曲調だったのですが、78年に発表したアルバム「Journey To Addis」の中の「Now That We've Found Love」が米R&Bチャート9位に入ったあたりから、ポップ&ファンク&ディスコ志向が一気に強まりました。

「Noww That…」は、ソウルディスコ「I Love Music」、「Love Train」などでお馴染みのオージェイズがオリジナル。サード・ワールドがスローのディスコレゲエ風にリメイクして、新たな光が当てられたわけです。さらに91年には、Heavy D. & The Boysがハードハウス&ラップ風味で豪快にリメイクし、米ディスコチャートで2位まで上昇したので、ちょっとしたダンスクラシックになりました。

さて、サードワールドの曲調は、クロスオーバー音楽全盛期の80年代に入り、ますますレゲエとは違う意味で軽〜くなっていきます。厚顔無恥な邦題「ラブ・アイランド」(愛の島)が入った82年発表のアルバム「You've Got The Power」では、一つのディスコ的頂点を迎えました。

例えば、「ダンシング・オン・ザ・フロア(Dancing On The Floor)」(81年)、「ラゴス・ジャンプ(Lagos Jump)」(83年)とか、「センス・オブ・パーパス(Sense Of Purpose)」(85年、ディスコ45位)、「ワン・モワ・タイム(One More Time)」(同、同8位)などのシングルを発表して大衆路線をひた走り、本格派レゲエの復活を期待する古くからのファンの不平不満を尻目に、「ノー天気オッケー」のディスコフリークたちを大いに喜ばせたものでした。

私自身、サードワールドの曲はいろいろとフロアで耳にしましたが、やはりラブ・アイランドの印象は抜群です。プロデュースはかのスティービー・ワンダー(これまたクロスオーバーな!)。リードボーカルのウィリアム・クラークの声も、この曲ではひと際“伸び”があって好ましい状況です。

ただ、いざこの曲がかかると、ピアノで始まるイントロはものすごくインパクトがあって期待させるにしても、意外とビート展開が単調でノリにくい面があり、間奏や後半部分にはダラダラ感がありました。その意味でも典型的レゲエディスコといえましょうか。

80年代後半からは一気に失速した彼らですけど、ディスコ/クラブの点から言えば、94年にリリースした「トーク・トゥ・ミー(Talk To Me)」(米ディスコ19位)は、わりあいファンキーな佳曲だと思います。

写真のCDは件の「You've Got The Power」で、ジャケットもやけに能天気。ですが、この人たちの再発モノの中古CDはどれも、最近のタイミングでは妙にレア化しています。10年ぐらい前は、ワゴンセールでしょっちゅう見つけたほどなのに……。CDで持っていないアルバムもあるのですが、異常に高いので今は買わないことにしています。