Ottawan2前回のクールな気分から一転、「ディスコの国からこんにちは!!」……今回はそんなナレーションが聞こえてきそうなハッピーアーチストを紹介しましょう。アットホームでハートフル、そして大胆不敵かつ繊細至極なオッタワン(Ottawan)!……でございます。

「そう言えば昔、そんな人達もおったワン!」なんて、我が家のディスコ犬ちゃっぴ〜(左プロフィール写真参照)みたいな切ない駄洒落は、くれぐれも言わないでくださいな。でも、彼らの曲を聴くと、どことなく明るい気分になることウケアイ。メロディーはキャッチーを通り越してもう、昭和少女アニメ(魔法使いちゃっぴ〜など)の主題歌のような無防備さです。

代表曲はなんと言っても、イギリスを中心とする欧州で大ヒットした「D.I.S.C.O.」(79年)に尽きます。この題名だけで、もはやすべてを言い尽くしていて満腹感。「このブログで紹介するのが遅すぎたワン」と思わせるほどにベタで素敵です。

さらに「Hands Up」とか「Crazy Music」などの「ほのぼのディスコヒット」もあります。スティールドラムを絡めた南国調だったり、ケーナ風の笛をフィーチャーしたラテン調だったりとバリエーションが少々ありますが、どれもアットホームでハートフルには違いありません。

珍しいところでは、ペットショップ・ボーイズを発掘したことで知られるハイエナジー・ディスコのプロデューサーのボビー・オーランドが制作に関わった「Hello Rio」という曲もあります。

さて、オッタワンは、1970年代後半に結成したフランス人のジーン(Jean)とアネット(Annet)の男女デュオです。全体的な曲調としては、北欧や東欧、ロシア、ドイツ、スイスなどで長年、老若男女に親しまれてきた哀愁系のシュラーガー(Schlager、ドイツ語で「流行歌」)の伝統を受け継いでいます。

シュラーガーの旋律は日本の歌謡曲にも近いものがあり、例えば、アバが優勝した「ユーロビジョン・コンテスト」で歌われるような音楽の範疇に入ります。オッタワンでいえば、同時期に活躍したボニーMとかギブソン・ブラザーズにも共通項があります。こうした曲は、ダンス系であっても、とにかく耳ざわりの良さが持ち味です。聴いているうちに、自然と心が和らぎ、顔がほころびます。理屈をこねる玄人くささがない、まさに正統的な“ド素人向けディスコ”なのですね。

ジャズだソウルだラテンだなんだと、音楽論や音楽史の文脈でディスコを語るのも悪くはないですが、やはりディスコがあまりにも玄人くさくなっては、またぞろイヤ〜な感じでジャンル細分化現象が生じてしまい、「解放と融合のおばかさんフロア」の理想からはかけ離れていきます。たまには頭の中を空っぽにして、オッタワン!のような世界に浸るのも一興ではないでしょうか。

オッタワンのCDは、輸入盤のベストが何枚か出回っています。中でも、写真の欧州盤CDがもっとも一般的で安価。シングルバージョンばかりなのがちょっと残念ですが、主なヒット曲は網羅されているので、“無邪気に踊ろうピンポンパン!”を体験するにはちょうどよいと思っています。