Queen Samantha時間が空いているうちにどんどんいってみようと思います。今回はフランスつながりで「ディスコ界の伏兵」クィーン・サマンサでありま〜す!

名前からして優雅なディスコ・ディーバっぽい響きがあります。でも、実はフランス人ディスコ・プロデューサーのHarry Chalkitisが70年代に編成したディスコグループ。1978年にファーストアルバムを発表し、収録曲の「テイク・ア・チャンス(Take A Chance)」がご当地欧州はおろか、アメリカのビルボード・ディスコチャートでも14位に入るヒットを記録して注目されました。

突然ですが、このテイク・ア・チャンスはとってもよい曲です。さすがはシンセ系に強いフレンチ仕立てだなあ……としみじみ感じ入らせる洗練されたミデアムテンポの曲でして、以前に紹介したスペースばりの「ザ・スペーシーディスコ……異次元ワールドへのいざない」ぶりを見せつけているのです。イントロのビート基調から少しずつアルペジオ・シンセサイザー音やパーカッションなどを徐々に重ねていく“正統派じらし系”で、90年代に主流となるシンセを多用したサイケ&アシッドな音を先取りしているのでした。

続く79年には、イギリスのポップグループBox Topsが67年に放ったヒット「ザ・レター」のディスコリメイクを発表。これまたハイセンスなシンセ使いはもちろん、ソリッドな女性ボーカル、足腰をノリノリで挑発する鋭角的なドラム、切なさが岩にしみ入るかのような泣きのサックス、控えめながら小技の効いたギターリフ、おまけに意表を突いた尺八っぽいフルートの音色までひょろひょろと絡んでくるめちゃくちゃクールかつダンサブルな曲。ややBPMを上げてかけるともう、フロアは桃源郷の大陶酔無重力スペースシャトル状態になることウケアイです。

ほかにも、メロディアスなスィートディスコの「スイート・サンフランシスコ(Sweet San Francisco)」、基本に忠実なアップテンポディスコの「ママ・ルー(Mama Rue)」、ピーター・ジャックバンドの「ウォーキング・オン・ミュージック」みたいな陽気アゲアゲの「サマー・ドリーム(Summer Dream)」といったまずまずの曲を出しています。

80年代に入ってからは少々勢いが衰えますが、83年には日本でもヒットした「クローズ・ユア・アイズ(Close Your Eyes)」というハイエナジー系の佳曲を米メガトンレーベルから発表しています。ここでは、典型的な“楽器でじらし系”のイントロのほか、意外に声量があって伸びやかな歌声が持ち味のグロリア・ブルックス(Gloria Brooks)のボーカルが聴き所。私も当時、ディスコでこれがかかるといそいそと仲間同士、踊りに繰り出したものです。ただし、この曲自体は80年ごろに作られた作品を少し長めにリメイクしただけですので、シンセの使い方や曲調が逆に少々古臭くなっているのがやや難点でしょうかね。

活躍期間は非常に短いのですけど、単なるドンドコディスコだけではなく、多彩でハイレベルな曲を残して音楽史の彼方に消えていったクイーン・サマンサ。CDはいくつか出ていますが、写真のUnidisc盤が音質もよく、70年代の主な曲がきちんと収録されていてよい出来だと思われます。