Dee C  Lee秋は深まり、空気が冷たく澄んでまいりました。今回は美貌の英国産歌姫、ディー・シー・リー(Dee C. Lee)と参りましょう。

1961年生まれの彼女が放った唯一のヒット曲は、1985年の麗しバラード「See The Day」。でも、本国英国では3位まで上昇しましたが、アメリカその他の国々ではほぼ無名。美貌という点では、同時期に大活躍したホイットニー・ヒューストンにも似た感じですけど、歌のうまさ、人気の点では足元にも及びません。ゆえに一発屋というわけです。

……いやあ、いきなりネガティブ評価で申し訳ありませんが、私が今回彼女を取り上げたのは、「シャイニー・シャイニー」のハイジ―・ファンテイジーを紹介した前回からの流れで、心臓破りな「懐かしの体力消耗高速ディスコ」の一つとして取り上げておきたかったからです。

実は、「See The Day」とソロデビューアルバム「Shrine」(1986年)をリリースする以前、あのワム!やスタイル・カウンシルのバックボーカルを務めていました。スタイル・カウンシルのポール・ウェラーとは一時期、なんと結婚もしていました。つまり、超大物アーチストの周辺に影武者として存在しつつ、かなりの下積みを経て、1つのヒット曲をなんとか世に送り出した苦労人なのでした。

私がまず注目したいのは、その下積み時代の1984年に単発シングルで発売した「Yippee-Yi-Yay!」という曲。これがまた、当時の札幌のディスコでやたらと耳にした覚えがあるのです。なんだか杏里の「キャッツ・アイ」にも似た軽〜いポップチューンでして、サビの謎の擬声語フレーズ「ユピヤイエイ!ユピヤイエイ!」(日本語で言えば「嬉しくてウッキャッキャー!」みたいな感じ)がとっても印象的だったのでした。

ディスコでこの曲名を知った私は、さっそく街中の輸入盤店で探してみましたが、どうしても見つからず。けれども、なぜかレコードレンタル店で12インチがありましたので、借りてきて、「ユピヤイエイ!」と叫びながら嬉々としてカセットテープに録音した記憶があります。

テンポはBPM(1分あたり拍数)で150ぐらい。快適な有酸素運動中の人間の心拍数はBPM130前後であり、それがそのまま、一般的なアゲアゲディスコのBPMとも概ね一致するわけですが(例えば「君の瞳に恋してる」がBPM130)、そんな標準値を大きく上回っております。当時は、極めて盛り上がった時間帯にかかっていた記憶があります。目がくるくる回ってとってもハッピーな気分になることウケアイですけど、いま踊ったら、文字通り心臓が心配です。

もう一つ、この「ユピヤイ」の一つ前に出したシングル「Salina Wow Wow」(サリナ・ワウ・ワウ、1984年)も、多少ディスコで聞いたことがあります。こちらは、一転してなんだかおっとりした曲調。スティービーワンダーの「ハッピーバースデー」みたいなイントロで控え目にスタートした後、人を食ったような調子のボーカルが恐る恐る入ってくるという正直、おとぼけなミデアムチューンとなっております。

CDですが、すこぶるマイナーであるがゆえに諦めていたところ、つい最近になって英国のチェリーポップ(Cherry Pop)レーベルから発売になりました(写真)。しかも、無謀にもなんと2枚組!1枚目は「See The Day」が入った「Shrine」で、ボーナストラック満載の2枚目の方は、幻の「ユピヤイ」の12インチバージョンと小粋でいなせなダブバージョン、それに「サリワウ」の12インチバージョンまで収録という徹底ぶりで驚きです。私も、失礼なことを言う割には結構好きでしたので、さっそく購入いたしましたとさ。