Disco_book最近ぜんぜん更新してないよん!…というわけで今回も洋書の書評となりますが、タイトルはずばり「DISCO」。ジョニー・モーガン(Johnny Morgan)というアメリカの音楽ライターが書いたクロニクルで、豪華ハードカバーのため大きさが31×23×3僂箸笋燭蕕肇妊くて重い!のが特徴ですが、米アマゾンで買ったら送料込みで1,900円弱とやたらと安かったので大喜びでした(超円高にて)。

内容的には、記述がとても客観的なのがまず嬉しい。前回紹介の「カサブランカ」の本は、基本は当事者の回顧録だけに、主観的な思いや考えが随所に出ていて、だからこそ面白かったのですけど、こちらは年代記としての資料価値が高いと思いました。

例えば、冒頭にはこんな記述が見えます。

「…ディスコは、ほかのさまざまな文化と同様に、第二次世界大戦直後のパリで生まれた。しかし、それが世界的な現象となったのは、アメリカが『再発明』したからである。1950年代、欧州出身のディスコの先駆者たちが、ニューヨークとロサンゼルスで相次いでダンスの商業施設をオープンした。ただ、それはまだ『ナイトクラブ』とでも呼ぶべきもので、ダンスフロアをただ広くして、社交界の一部の人間に奉仕するような内容だった…」

こんな調子で、ディスコの黎明期から絶頂期、衰退期を解説し、さらには現代のポピュラー音楽に与えた影響にまで触れています。文章は少々平板な印象を持ちましたが、自身も「ディスコ世代」というだけあって、説得力があります。当時のメディアで扱われたディスコの記事や、ミュージシャンやディスコ経営者らのインタビューでの語録なども豊富に掲載されていています。

登場するアーチストは、それこそ大量です。「ツイスト」ダンスのシンボルだったチャビー・チェッカー、「ファンクの帝王」ジェームズブラウンから、絶頂期のドナ・サマー、アバ、ビレッジ・ピープル、マイケル・ジャクソン、それに「ポスト・ディスコ」のダンス系アーチストであるマドンナ、ペットショップ・ボーイズまで徹底的に網羅しています。しかも、この著者はいまが旬のレディー・ガガの伝記(その名も「Gaga」)も出版しているだけあって、彼女とディスコの共通性についても記述しています(つまり「ディスコ文化を継承するアーチスト」として)。

このうち、アバの記述については、こんな具合です。

「…スウェーデンの人気ポップグループであるアバは、流行にはやや後れながらも、彼らの唯一の全米ナンバーワンヒットとなった『ダンシング・クイーン』によってディスコシーンに登場した。1976年末に発売されたこの曲は、メンバーであるビョーン・ウルバースとベニー・アンダーソンが作詞・作曲した。リズム進行の一部は74年のジョージ・マックレーのディスコヒット『ロック・ユア・ベイビー』をベースにしており、欧州でも瞬く間に大ヒットとなったのだ…」

このブログでも触れてきたように、ディスコは70年代まで続いたベトナム戦争や不況といった社会的ストレスの反動として「ええじゃないか!」的ブームになった側面が強いわけですが、この本でも同様の見解を示しています。その上で、後半では、今考えるとなんだか大げさで意味不明な「反動ディスコのそのまた反動」としての「ディスコダサいぞ!(Disco Sucks!)運動」もきちんと写真付きで解説しています。

「今考えると『あの騒ぎはなんだったのか』との思いにも駆られるが、大ヒット映画『サタデーナイト・フィーバー』の余韻覚めやらぬ70年代末、ロック音楽を信奉する人々による草の根の抗議運動が勃興した。66年にジョン・レノンが『ビートルズはイエスよりビッグだ』と主張したのを受け、保守的なキリスト教指導者たちがビートルズに対して行ったように、ディスコに対して苛烈な排斥運動を展開したのだ…」

とまあ、改めて「ディスコとはなんだったのか」をおさらいできるわけです。やはり全部英語なのが玉にキズですけど、それでも敢えて取り上げたのは、「最大のウリは写真」だと思うからです(下写真参照)。学術的、ジャーナリズム的価値が高いとはいえ、「よく権利問題をクリアしたものだ」と思わせる、かなり充実した「写真集」の要素も強いのです(紙質はいまひとつだけど)。

キラ星のような有名アーチストやジャケット写真、豪華ディスコの店内はもちろんのこと、ディスコ好きの文化人として知られた画家アンディ・ウォホール、作家トルーマン・カポーティなどの写真もあります。特にカポーティ―は、かのマリリン・モンローと緊張しながらダンスを踊っています。ありしころの英国ダイアナ妃も、レーガン大統領の招きで訪れたホワイトハウスで、ジョン・トラボルタと踊っていますしね。これらの貴重なショットを眺めるだけでも楽しめると思うのであります。私自身、ときどき眺めてはひとり悦に入っております。

次回はおもむろにCD批評に戻りたい、と思っております。

disco book3disco book2disco book

disco4