Devo10年以上前、キッチュ(まがいもの=でも逆におシャレ)という逆説的な言葉が流行りましたが、そんな表現にふさわしいのがディーボ。1980年前後、赤い植木鉢みたいな帽子を頭にかぶり、変な格好でテクノダンスミュージックを次から次へと繰り出した人々です。

ニューウェーブ系にしては珍しく米国出身の男性五人組です。まあとにかく変てこなバンドで、70年代半ばの結成当初は、ステージで演奏を始めると観客からやじられたり、ビールびんを投げつけられたりと大変だったそうです。米国人は前衛的で小難しい音はあまり好みませんからねえ。

それでも、次第に理解者が増えてきて、カルト的人気が出てきたのが80年です。「ウィップ・イット」がビルボードで14位に入る健闘を見せて、自分たちの居場所を確保したといったところでしょうか。その後もバンドは解散せず、現在もライブ活動を続けているようです。

彼らの曲は80年代前半、日本のディスコでもかかっていました。私のいた札幌では「ピーク・ア・ブー!」(Peek-A-Boo!=いないないばー!)という人を食ったような曲をフロアで盛んに耳にしましたね。さすがに凡百のテクノポップバンドよりはシンセの使い方が重厚で、ノリが非常に良かった。同じころのシングルヒット「ザッツ・グッド」なんていうのもかかっていました。

本人たちもあるディスコのビデオで「ディスコを意識している」と断言していましたから、曲調も基本はドラムマシーンを駆使した80年代ディスコを感じさせます。

ただ、この人たち、おバカさんなようでいて「バカを装っている感」がある。ディーボとは「De-Evolution」の略語だそう。強引に訳すと「退化的進化」「進化的退化」「脱進化」???……てな具合でやっぱり人を食っている。歌詞の内容も、ポストモダンだかなんだ知りませんけれど、前衛的でよく分からないのが多いです。パロディなんでしょうが、インテリくささは否めません。

ディーボにはコアなファンが多いので、比較的CD化もされています。上の写真は15年ほど前に発売されたベスト版。とりあえずヒット曲が網羅されているので一番、手っ取り早いと思います。下の写真は、出世作となった80年「Freedom of Choice」で、ウィップ・イットが入っています。聴くほうは理屈をこねず、素直に曲を楽しむことと致しましょう。Devo-2