Pamala Stanley私がディスコに行っていた80年代、気に入っていた曲の一つにパマラ・スタンレーの「カミング・アウト・オブ・ハイディング(邦題:恋のかくれんぼ)」(84年)というのがありました。典型的なハイエナジー・ソング。歌謡曲な雰囲気ですけど、切ないメロディーとパマラの歌声にはまった時期があったのです。

彼女は10代から、米バージニア州で歌手として活動。高校卒業後、ブロードウェイシンガーを目指してニューヨークに移り、CM曲を歌うなどしているうちに実力を買われて70年代後半、メジャーレーベルのEMIと契約。「This Is Hot」(79年)という曲が全米ディスコチャート16位まで上昇するヒットとなります。欧州でも人気が出て、ユーロディスコのメッカであるドイツを拠点に世界ツアーを展開しました。

ところが、間もなくディスコブームが終わり、EMIもディスコ分野から撤退。パマラに逆風が吹き始めました。折りしも、EMIがパマラとほぼ同じ時期に見出した英国のシーナ・イーストンが、「モーニング・トレイン」(81年、全米ポップチャート1位)などの特大ヒットを連発するようになり、声質が似ているパマラとの契約を打ち切ってしまったのです。

しばらく不遇の時代が続いた後、83年にはなんと、自ら小さなレコードレーベルを立ち上げ、「I Don't Want to Talk About It」をリリース。これが全米ディスコチャート13位に入り、復活ののろしを上げます。続く84年にリリースした「カミング・アウト…」は、全米ディスコチャートで4位まで上がったほか、世界中のディスコでヒット。その後も80年代を通して、チャートインする曲を何曲か出しました。

ご他聞にもれず、90年代に入ると人気も衰えて「過去の人」に。それでも、北米や南米でクラブ回り歌手を続ける傍ら、何枚かのオリジナルCDやベスト盤CDを出しています。自身のHPも立ち上げ、張り切って活動を続けている様子です。

…と、ここからはこぼれ話。件のHPで彼女の限定盤のベストCD(ビデオクリップなどのDVD付き)を見つけ、さっそくそのHPの通販コーナーで注文したのですが、待てど暮らせど来ない。催促のメールを出したところ、事務所スタッフから「こちらで調べた上で再送する」などと返事が届いていたのですけど、注文から1カ月以上たってもやっぱり来ないのです。

すると、数日後、今度は彼女自身からメールが何通か立て続けに届きました。「せっかくわざわざ私のHPを見て買ってくれたのに、申し訳ない」「事務所の方から再送したけど、まだ届かない?」といった内容、最後には「私、こういうの気になってしかたがないの。私の方から責任をもって、書留便か何かで必ず送るわね」と書かれていました。

果たせるかな、それから1週間もしないうちにそのCDとDVDが無事、国際書留便で届いたというわけです。しかも「(ここまで待ってくれた)あなたの寛大さに感謝します…パマラ・スタンレー」とのサイン入りで(写真)。いささか感激いたしました。

そのベストCDですが、ヒット曲がほぼ網羅されている上、多くはロングバージョンでの収録。まずは申し分ない出来栄えでした。オマケのDVDには、MTVでも流れていた代表曲「カミング・アウト…」のビデオクリップも収録。このビデオについて彼女は、私へのメールで「当時、アメリカで流行っていた、中国人探偵が主人公のドラマを意識してセットを作ったの。ずいぶんと時間とお金をかけて撮ったのよ」と語っておりました。