KIng Errisson70年代ディスコで欠かせない楽器セクションには、ドラムとともに中心的なリズムを構成するコンガやボンゴなどのパーカッションが挙げられると思います。とりわけアフリカ&カリブの香りたっぷりのコンガは、80年代初頭にシンセサイザーが幅を利かせるまでは、ディスコの必須アイテムといっても過言ではありませんでした。

今回紹介するのは、ジョン・レノンからハーブ・アルバート、さらにはニール・ダイアモンドまで、いろんな著名アーチストのセッションミュージシャンとして引っ張りだこだったパーカショニストのキング・エリッソンです。以前に紹介した、70年代初期の伝説のパーカショングループ「Incredible Bongo Band」にも参加していました。チャートアクション的には地味ですが、ディスコ的にも欠かせないアーチストだと思っています。

1941年にバハマに生まれた彼は、77年、ディスコレーベル「Westbound」から「L.A. Bound」という傑作ディスコアルバムを出しています。彼お得意のコンガが前面に出ています。70年代ディスコを彩ったパーカッションの魅力が、最もうまく引き出されている例の一つだといえます。

L.A. Boundのプロデューサーは、70年代のアメリカのディスコを語る上では欠かせないマイク・シオドアとデニス・コフィー。特にマイクは自身でも「コズミック・ウィンド」(77年、全米ディスコチャート2位)などのディスコヒットを連発した人です。さらに、ミックスをトム・モールトンが担当している点も見逃せません。

L.A. Bondは長尺の5曲で構成。A-1のミディアムナンバー「Disco Congo」は、コンゴだけではなく、ボニーM.など一部を除きディスコでは珍しいスティールドラムの音色が印象的です。A-2の「Manhattan Love Song」は10分以上あり、フィリーサウンド調。B-2「Well, Have A Nice Day」も、サビの部分がやはりフィリー調となっています。これは、このアルバムの録音スタジオがフィラデルフィアの「シグマサウンド」であることに由来すると思われます。

最後のB-3も、控えめな曲調ながらも軽快で踊りに適したダンスナンバーですね。ここでもスティールドラムが意外な効果を発揮しています。

写真のCDはL.A. Bondと、その前年の76年に発表したディスコ系アルバム「The Magic Man」との豪華カップリングで、2年前に英Aceレコードから発売されました。The Magic Manには、「Forget Me Nots」(82年、全米ディスコチャート2位)などのディスコヒットで知られるパトリース・ラッシェンもキーボード担当として参加しています。2枚ともアナログでも長らくレア扱いでしたので、このCD化には驚いたものですな。