ディスコ堂 by mrkick

音楽に貴賎なし ―Discoの考察とCD批評

ソニア

フィンツィ・コンティーニ (Finzy Contini)

Finzy Contini疾風怒濤のマイケルさんに続きましてはフィンツィ・コンティーニ。代表曲のラテンフレーバー・ディスコ「チャチャチャ」は、例によって日本でも石井明美がカバーして大ヒット、その曲を主題歌としたドラマ「男女七人夏物語」も大ヒット……というわけで、そろそろ私の中のバブルも弾けそうです。

とはいっても、この曲の発売は1985年ですから、正確にはバブルのごく初期にあたるのですけど、80s後半のノリを濃厚に映し出す作品として記憶に刻み込まれております。

イタリア出身の女性ボーカリスト「クラウディア」を中心とした女1人男2人のグループ(貴重なYoutube映像)。それに、プロデューサーは「Disco Band」などのヒットで知られるScotchを手がけたDavid Zambelliらが担当していますから、大きなカテゴリーからみればイタロディスコに含まれます。

それでも、テンポがゆるめの曲が多いながらも、中身はもうバブル期特有の純粋ユーロビートでした。当時のディスコでは結構しつこく流れていましたから、私もそんなフロアで“バブルに踊らされた”一人といえますね(笑)。

チャチャチャについては、フランスでも「Key Largo」というアーチストが同時期にリリースして、競作となっています。こちらのバージョンも日本のディスコで流れていました。

チャチャチャの後は、「Ou-La-La」、「Clap Your Hands」など、チャチャチャと似た感じラテンものイタロの12インチをいくつかリリースしています。

80年代末期には曲調が少し変わり、バナナラマや初期カイリー・ミノーグやソニアなどを手がけたプロデューサーチームのストック・エイトケン・ウォーターマン(SAW)風の「In The Name Of Love」をリリース。日本ではかなりの人気で、バブル崩壊前夜、やたらとハイパーになっていくユーロビートを象徴するようなヒット曲になりました。90年代半ば以降は、表舞台から消え去ったようです。

写真のCDは、87年に日本のキングレコードから発売されたファーストアルバム「チャチャチャ」。初期作品集ですので、すべてラテン調でまとめられていますが、チャチャチャ、それに小ヒットのOu-La-La以外にはあまり見るべきものがありません。私もこれを書くにあたって、約20年ぶりに聴いた次第です。

カイリー・ミノーグ (Kylie Minogue)

Kylie MinogueSAWの流れであらぬ方向に行っちゃいま〜す…ってなわけで、今回はカイリー・ミノーグ。正真正銘のアイドルでである彼女ももう38歳であります。私と3つしか違わなかったのでした。

もちろん、東京のディスコ各店でもヘビープレイされていたわけですが、私が彼女の曲を最初に聞いたのは、東京ディズニーランドの中の変なディスコ。北海道から東京に出てきたばかりのころで、大学1年の夏休み、道内の短大に通う妹たちが東京に遊びに来たので、「おのぼりさんの定番」ディズニーランドに連れていったというわけです。

そのときには「I Should Be So Lucky」と「Got To Be Certain」が何度となくかかっていたのですが、「曲調がいかにもTDLだなあ」と思ったものです。その後、TDLには一度も行っていませんが、テレビなどでTDLを見るたびに、カイリーさんを思い出します。

彼女の場合、活躍時期が既に80年代末期ですので、もはやユーロビートそのもの。テカテカし過ぎちゃって、私などには抵抗感が出てきます。SAWの勃興期の立役者の一人ですけど、「ディスコの最終コーナー」の人、といったところです。「もういいかな」って感じ。

まあ上記2曲と「Step Back In Time」は許せる範囲でしょうか。それと、88年に全米ポップチャート3位まで上昇した「Locomotion」なんかも、案外よいリメイクだと思いました。

彼女は68年、オーストラリア生まれ。少女時代からテレビドラマなどで活躍していた様子です。歌手としては、80年代後半にSAWのプロデュースを仰ぐようになってから、鬼のようにヒット曲を連発。特に本国と欧州、さらには日本ではアイドルスターの地位を確立しました。

ところが、90年代中盤にスランプに陥りました。「自分のキャラを確立したい」と言い出し、「SAW(=アイドルユーロ)離れ」をしてしまったのでした。確かに当時の彼女の曲を聴くと、マンネリ感は否めません。

しかし、試行錯誤の末、2000年以降には別のプロデューサーと組み、新手の「ダンスポップ・アーチスト」として見事に復活。「Can't Get You Out Of My Head」と「Love At First Sight」の2曲が全米ディスコチャートのトップに輝いておりますね。2005年には乳がんの手術を受けてますが、克服して再び復活しております。現在も、特に本国オーストラリアではカリスマ的な存在のようであります。

個人的には、カイリーの声を聴くと、同時期にSAWプロデュースで一時期ちょっと注目を浴びたソニアをなぜか思い浮かべます。代表曲は「You'll Never Stop Me Loving You」(89年、英国一般チャート1位)。これまたバブルなディスコで、カイリーの曲などとつながれてよ〜くかかっていました。

ソニア(・エバンス)という女性は、素人時代、スタジオで仕事中だったSAWのピート・ウォーターマンを訪ねて直接、自分の歌声を売り込んだエピソードを持つつわものです。当然ながら、カイリーの曲と曲調はまったく同じですし、ルックスも正直言って「??」なのですが、こっちの方が「ド根性」な感じで好感が持てます。「You'll Never…」のPVもけっこうほほえましい内容になっております。

カイリーのCDは山ほど出ていますが、写真の12インチミックス集(2枚組)が一番、充実しています。Vol.4まで出ておりまして、全部そろえるとカイリー・ミノーグ通になれます。ソニアのCDは昔出ていましたが……今は廃盤です。

SAWモノは今回で一応おしまい。来月は時代を遡ろうと思います。
プロフィール

mrkick (Mr. Kick)

「ディスコのことならディスコ堂」----本名・菊地正憲。何かと誤解されるディスコを擁護し、「実は解放と融合の象徴だった」と小さく訴える孤高のディスコ研究家。1965年北海道生まれのバブル世代。本業は雑誌、論壇誌、経済誌などに執筆する元新聞記者のジャーナリスト/ライター/翻訳家。もはや踊る機会はなくなったが、CD&レコードの収集だけは37年前から地味〜に続行中。アドレスは↓
mrkick2000@gmail.com

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*最近多忙のため、曲名質問には基本的にお答えできません。悪しからずご了承ください。
*「ディスコ堂」の記事等の著作権はすべて作者mrkick(菊地正憲)に帰属します。

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