ディスコ堂 by mrkick

音楽に貴賎なし ―Discoの考察とCD批評

チャカ・カーン

タタ・ベガ (Tata Vega)

Tata Vegaタタ・ベガさんはゴスペルシンガーとして鳴らした実力派。スティービー・ワンダー、チャカ・カーン、パティ・ラベル、マイケル・ジャクソン、そしてマドンナと、さまざまなビッグアーチストのバックボーカルとしても活躍した人でした。

1951年、米ニューヨーク生まれ。10代前半にミュージカルに出演してプロ活動を始め、歌唱力の高い歌手として頭角を現しました。モータウンとの契約を果たし、本人名義のアルバムも、「Full Speed Ahead」(76年)、「Totally Tata」(77年、写真)など、ディスコ全盛期の70年代後半を中心に何枚か出しています。

中でも出色なのは、ディスコブームが最高潮に達した79年に発売したアルバム「Try My Love」。全編にわたって底抜けに明るいダンスナンバーがちりばめられています。特に「I Just Keep Thinking About You」なんて、「これがゴスペル歌手のやることか!?」というくらいに歌謡曲チック。しかし、だからこそ、私にとっては一番のお気に入りのアホアホ系ディスコとなっております。

このアルバムからは、「Come And Try My Love」、「Gonna Do My Best To Love You」といったゴキゲンナンバーもあって、ディスコ好きにはたまらない感じです。しかし、「Get It Up For Love」を聴いてみると……アレ? なんだか自らバックボーカルでバックアップしているはずのチャカ・カーンみたい。まあ、メロディーラインが洗練されていてよい曲なのですが、残念ながら個性の乏しさがなんとなく滲み出てしまうのです。

私としては、あの風貌ならば(失礼)、もう少しウェザー・ガールズとか、バックボーカルを務めたパティ・ラベルみたいに「ザ・ディスコディーバ」としてどしどし弾けて欲しかったのですが、そうは問屋が卸しませんでした。正統派よろしく、98年には「Now I See」なる真面目なゴスペルアルバムまで発売してしまいましたからね。まあ致し方ありません。

はっきりいってマイナー歌手で終わってしまった「歌の上手い歌手」タタさん。この辺の「売れる、売れない」は誰にもわからない紙一重の差なのでなんとも説明しようがありませんが、ディスコ界ではそこそこの実績をアピールできたのだと考えております。私のFacebookの「友達リクエスト」(笑)にも、快くメッセージ付きで承諾してくれましたしね。これからも陰ながら応援しようと思っております。

CDは写真の「Tatally Vega」とデビュー作「Full Speed Ahead」が最近、発売されました。けれども、ディスコ好きとしては出色の「Try My Love」と「Givin' All My Love」(80年)という「もろディスコアルバム」のCD化が望ましい。首を長くして待つことに致しましょう。ぴょん!

ブームは来なかったがタカ・ブーム (Taka Boom)

Taka BoomRed Hot」(79年、米ディスコチャート19位)などのディスコヒットで知られるタカ・ブームは、チャカ・カーンの1歳年下の妹。お姉さんがあまりにも偉大過ぎて影が薄いのは確かですが、ディスコ界での活躍ぶりはなかなかのものです。

1954年、シカゴに生まれたタカの本名はイボンヌ・スティーブンス(Ybonne Stevens)で、チャカお姉さんはイベット(Yvette)という名でした。芸名がタカ・ブーム(日本語ではブーンと読む場合もある)ということですけど、なんと「タカ・カーン(Taka Kahn)」と名乗ることもあったといいますからややこしい。

ユニークな「ブーム」の名は、元夫(サックス奏者のJohn Brumbach)のかつての職業が土木建築作業員で、依頼主の家のプールを庭に作る際などに、「ドカン!(Boom!)」とよく爆薬を爆発させて作業していたことに由来するといいます(Miss Funkyflyy's Web Pagesのインタビュー記事より)。これもなんかヘンです。

チャカ・タカ姉妹は幼いころから仲が良く、一緒に大好きな歌の道に入ることを決心。60年代前半にThe Crystalettesという少女グループを結成し、無名ながらレコードも出しました(激レアYoutube)。

このThe Crystalettesは間もなく解散。チャカタカ姉妹は The Shades of Blackというボーカルグループを新たに結成してライブ活動を続けました。それでも芽は出ず、「やっぱり中途半端はよくない!」と、2人とも通っていた高校を中退して歌手活動に専念することにしました。うちチャカはロサンゼルスに移り住み、後にR&Bグループ「ルーファス&チャカ・カーン」のリードボーカルとして頭角を現すことになります。

タカもギャップ・バンド、ブラッド・ストーン、ジョージクリントンのP-Funk軍団、それに姉のいるルーファスなどでバックボーカルを務めるようになりました。今年9月に死去したモータウンレーベルの元大物プロデューサーで、テンプテーションズなどを手がけたノーマン・ホイットフィールドに頼まれ、ファンクグループ「The Undisputed Truth」のボーカルとして活動した時期もあります。

1979年には念願のソロデビューアルバム「Taka Boom」を発表し、ディスコを中心にヒットを記録しました。姉チャカも助っ人バックボーカルとして参加。収録曲は「Red Hot」のほか、サックスをフィーチャーしたアゲアゲ調のクラブクラシック「Night Dancin'」(R&B20位)などが含まれております。

タカについてはディスコブーム期、グラス・ファミリーというディスコグループのボーカリストになった時期もありました。78年に「Mr. Dj You Know How To Make Me Dance」という曲がディスコチャート11位に入り、大健闘しました。

姉チャカは80年代に入り、ソロ歌手として大ブレイクしたというのは周知の通り。タカも80年代半ば、姉チャカを始めとする豪華ミュージシャンの助太刀を頼み、「Boomerang」と「Middle Of The Night」の2枚のソロアルバムを出しました。が、セールス的には寂しい状態でした。中身的にはダンサブルでディスコ好きには納得がいくのですが、世間の風は冷たかった・・・・・・というわけで。

チャカ、タカともに、素人にはマネのできない伸びのある迫力ボイスが魅力。しかし、声質は基本的に似ているものの、パワーや声量という点では姉チャカの方がやはり上であります。比較するとどうしてもタカにとって分が悪いのですね。80年代には「チャカ・ブーム」はあったわけですけど、名前通りの“タカ・ブーム”はやって来ませんでした。

それでも、見事に多彩なディスコ歴は特筆すべきでしょう。彼女のアルバムに参加するミュージシャンが豪華なのも、少女時代からの長年の経歴の中で培った人脈が豊かであるが故なのです。

ちなみに、タカは90年代後半になって、ハウスミュージックの分野で成功を収めたプロデューサーであるJoey Negroに見出され、「Joey Negro Featuring Taka Boom」のアーチスト名で「Can't Get High Without U」(98年、米ディスコチャート1位)という曲も大ヒットさせています。

タカ・ブームは長年、ディスコファン(一部マニア)からはCD化が待望されていたのですが、最近になって「Middle Of The Night」(85年、写真)だけがなぜかCD化されて驚きました(英FTG Records盤)。しかも、ボーナストラックとして、ホイットニー・ヒューストン風で時代を感じさせる表題曲と、これの前の83年のアルバム「Boomerang」に入っていた軽快ファンクチューン「Love Party」(これはVernon Burch の Get UpやZoomのSaturday, Saturday Nightに似ている)のそれぞれ12インチバージョンが入っているのが嬉しい!

・・・・・・と思ったら、このCDの2曲目「Rock Yo' World」には致命的な「音飛び」が2カ所もあることが判明。マスタリング時のバグと思われます。輸入盤ではたま〜にあることですが、姉チャカもバックボーカルで参加しているアップテンポで結構よい曲なだけに、最後はトホホな気持ちになりましたとさ。
プロフィール

mrkick (Mr. Kick)

「ディスコのことならディスコ堂」----本名・菊地正憲。何かと誤解されるディスコを擁護し、「実は解放と融合の象徴だった」と小さく訴える孤高のディスコ研究家。1965年北海道生まれのバブル世代。本業は雑誌、論壇誌、経済誌などに執筆する元新聞記者のジャーナリスト/ライター/翻訳家。もはや踊る機会はなくなったが、CD&レコードの収集だけは37年前から地味〜に続行中。アドレスは↓
mrkick2000@gmail.com

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