私はアメリカの古いカントリーとかブルーグラスとかジャグバンドも好きで、たまに聴いているのですが、その中でよく使われる弦楽器にバンジョーというのがあります。米国南部の白人系の楽器であるせいか、ディスコではあまり使われなかった楽器でして、少し前に紹介したKat Mandu“I Wanna Dance”などは、数少ない例の一つといえます。
バンジョーはカントリーらしくのどかな音を奏でます。そこがまた魅力なのですけど、ロックンロール調な早弾きも圧巻でして、心も体も躍らせる要素は十分にあります。そんな好例が、1974年に発売されたAl Downingのシングル「I'll Be Holding On」(ディスコチャート1位、mp3の試聴あり)だと個人的に思っています。メロディーもアルのボーカルもソウルフルで良いのですが、間奏から目立ってくるバンジョーがかなり威力を発揮しています。
アメリカでのディスコは73〜74年に定着し始めました。いつも引き合いに出すビルボード・ディスコチャートがスタートしたのも74年です。ですから、「I'll Be…」はディスコ黎明期の歴史的大ヒット曲ということになります。70年代のディスコ・ミックスの創始者にして“帝王”トム・モールトンがミックスを担当している上、70年代後半に映画スターウォーズなどの「パクリものディスコ」で一世を風靡するミュージシャンMecoがプロデュースを担当している点が、この曲のディスコとしての大きな付加価値として挙げられます。
アルは1940年オクラホマ州生まれ。「ビッグ(Big)・アル・ダウニング」とも呼ばれます。アメリカ南部ということで、やはりカントリーや昔のリズム&ブルース畑のシブいミュージシャンです。最も得意とする楽器はピアノでした。カントリーでは非常に珍しい黒人ミュージシャンだったため、初めのころは苛酷な差別との闘いもありました。
ほとんど個人名のアルバムは出しておらず、主にバックミュージシャンとして活躍していた人です。そんなアルがディスコをやってみたら、突如としてブレイクしたというわけです。
アルさんには弟がいまして、Don Downingといいます。この人もピアノ担当のセッションミュージシャンとしての活躍が長い地味な人ですが、1978年、これまた突如として「Doctor Boogie」といういかにもディスコな名前のアルバムをRS Internationalレーベルから発売しました。兄同様、トムモールトンがミキサーとして加わっております。
Doctor Boogieはそれほど売れなかったのですが、フィリーサウンドっぽい軽快なディスコ曲を中心に構成されていて好盤だとは思います。特に表題曲と「Dream World」(試聴あり)が、今でも好事家の間では人気となっています。アルバムのレア度は高く、状態が良いものは1万円近い高値を付けているようです。
兄弟ともに80年代には再び無名化したものの、米国のカントリー界においては、けっこうな大物の扱いです。兄のアルは3年前、白血病がもとで他界しました。アルはディスコ的にはホント「I'll Be…」に尽きるわけですが、すごく名曲ですので(いきなり絶賛)、遺作としての価値は十分過ぎるほどです。私などにとっては、「I'll Be…」は5回ぐらい繰り返し聴いても飽きないほどでして、70年代前半のディスコ曲の中では文句なしに1位を進呈したいところです。
ダウニング兄弟のアナログシングル、アルバムでさえレア扱いなので、CD化はほとんど望めないような状況です。しかし、奇跡的に「I'll Be…」と「Dream World」の両曲が 10年ほど前に発売されたコンピCD「Super Rare Disco Volume 1」(写真)に収録されています。ほかの収録曲も70年代半ばまでの早期ディスコ曲が多く、「Super Rare」の名に恥じない感じはあります。いつも「レア」という語にはコロッと騙されますので。
ちなみに、2年前に発売されたTom MoultonのCDにも両曲が入っていますけど、「I'll Be…」が少し短いバージョンですので、「Super Rare」がやはりヨロシイ。
バンジョーはカントリーらしくのどかな音を奏でます。そこがまた魅力なのですけど、ロックンロール調な早弾きも圧巻でして、心も体も躍らせる要素は十分にあります。そんな好例が、1974年に発売されたAl Downingのシングル「I'll Be Holding On」(ディスコチャート1位、mp3の試聴あり)だと個人的に思っています。メロディーもアルのボーカルもソウルフルで良いのですが、間奏から目立ってくるバンジョーがかなり威力を発揮しています。
アメリカでのディスコは73〜74年に定着し始めました。いつも引き合いに出すビルボード・ディスコチャートがスタートしたのも74年です。ですから、「I'll Be…」はディスコ黎明期の歴史的大ヒット曲ということになります。70年代のディスコ・ミックスの創始者にして“帝王”トム・モールトンがミックスを担当している上、70年代後半に映画スターウォーズなどの「パクリものディスコ」で一世を風靡するミュージシャンMecoがプロデュースを担当している点が、この曲のディスコとしての大きな付加価値として挙げられます。
アルは1940年オクラホマ州生まれ。「ビッグ(Big)・アル・ダウニング」とも呼ばれます。アメリカ南部ということで、やはりカントリーや昔のリズム&ブルース畑のシブいミュージシャンです。最も得意とする楽器はピアノでした。カントリーでは非常に珍しい黒人ミュージシャンだったため、初めのころは苛酷な差別との闘いもありました。
ほとんど個人名のアルバムは出しておらず、主にバックミュージシャンとして活躍していた人です。そんなアルがディスコをやってみたら、突如としてブレイクしたというわけです。
アルさんには弟がいまして、Don Downingといいます。この人もピアノ担当のセッションミュージシャンとしての活躍が長い地味な人ですが、1978年、これまた突如として「Doctor Boogie」といういかにもディスコな名前のアルバムをRS Internationalレーベルから発売しました。兄同様、トムモールトンがミキサーとして加わっております。
Doctor Boogieはそれほど売れなかったのですが、フィリーサウンドっぽい軽快なディスコ曲を中心に構成されていて好盤だとは思います。特に表題曲と「Dream World」(試聴あり)が、今でも好事家の間では人気となっています。アルバムのレア度は高く、状態が良いものは1万円近い高値を付けているようです。
兄弟ともに80年代には再び無名化したものの、米国のカントリー界においては、けっこうな大物の扱いです。兄のアルは3年前、白血病がもとで他界しました。アルはディスコ的にはホント「I'll Be…」に尽きるわけですが、すごく名曲ですので(いきなり絶賛)、遺作としての価値は十分過ぎるほどです。私などにとっては、「I'll Be…」は5回ぐらい繰り返し聴いても飽きないほどでして、70年代前半のディスコ曲の中では文句なしに1位を進呈したいところです。
ダウニング兄弟のアナログシングル、アルバムでさえレア扱いなので、CD化はほとんど望めないような状況です。しかし、奇跡的に「I'll Be…」と「Dream World」の両曲が 10年ほど前に発売されたコンピCD「Super Rare Disco Volume 1」(写真)に収録されています。ほかの収録曲も70年代半ばまでの早期ディスコ曲が多く、「Super Rare」の名に恥じない感じはあります。いつも「レア」という語にはコロッと騙されますので。
ちなみに、2年前に発売されたTom MoultonのCDにも両曲が入っていますけど、「I'll Be…」が少し短いバージョンですので、「Super Rare」がやはりヨロシイ。