Crwon Heights Affair今回は男性8人編成のディスコグループ「クラウン・ハイツ・アフェア」。名前は「クラウンハイツ」というNYブルックリン地区にある地名から取っており、B.T.エクスプレス(旧ブルックリン・トラッキング・エクスプレス)と並んで、70年代の初期ニューヨーク・ディスコの代表格です。

このグループは1960年代後半、ブルックリン地区のバンド仲間らで結成された「ニュー・デイ・エクスプレス(New Day Express)」というグループがルーツ。その後「クラウン・ハイツ・アフェア」に改名して、74年にRCAレーベルからシングル&アルバム・デビューを果たしますが、これはあまりうまくゆかず、75年にDe-Liteレーベルに移ります。

De-Liteはインディー系ですが、ご存知クール・アンド・ザ・ギャングが看板バンドとして活躍していたレーベル。ここで初めて、“クラウン”たちも本格的なアルバムを立て続けに発表し、ディスコ系の大ヒット曲を出すようになりました。

代表曲は「Dreaming A Dream」(75年、全米ディスコチャート1位、R&B5位)、「Every Beat Of My Heart」(同、ディスコ2位)、3曲メドレーでヒットした「Dancin'/Searching For Love/Far Out」(76年、ディスコ6位)などです。本人たちはバラードにも意欲を見せていたのですが、世間からの評価はもろ「ディスコバンド」。それでも、少々荒削りなファンキーさが魅力の「同郷のライバル」B.T.と比べて、ホーンセクションとストリングス、それにボーカルがうま〜くかみ合った上品な曲作りをするアーチストだと思います。

ディスコブームが去った80年以降は、さすがにアメリカでの人気は衰えましたが、イギリスではかなりの人気を保ち、チャート入りを何度も果たしています。このころになると、私の好きな初・中期のシンセサイザーもちょうどいい具合に絡まっていて、70年代にはあまり目立たなかった「ファンクネス」が引き出されているようですね。曲としては「Rip Off」(82年)とか「Somebody Tell Me What To Do」(同、R&B31位)あたりにそれが表れています。

80年代でいえば、「You Gave Me Love」(80年、ディスコ12位)も忘れがたい。ちょっとマイアミディスコのジョージ・マックレー「ロック・ユア・ベイビー」(74年)を彷彿とさせる、「フウウウ〜♪」という脱力系コーラス入りのイントロがゆるやかで素敵です。

80年代後半にはもう「過去の人びと」になってしまった、クラウン・ハイツ・アフェア。しかし、しっかりとフロアの記憶に残る旋律を残したアーチストではありました。

CDですが、けっこうアルバム再発やベスト盤が出ています。写真は英Sanctuaryレコードの2枚組ベストCDで、ほとんどの代表曲が収録されていてヨイのですが、廃盤になって久しく、最近は入手が困難。ほかにもUnidiscなどからよいベスト盤が出ています。