ディスコ堂 by mrkick

音楽に貴賎なし ―Discoの考察とCD批評

ハービー・マン

ブリック (Brick)

Brick今回は少々渋めに「ブリック」と参りましょう。腕っこきの演奏者や歌い手たちが結集し、70年代後半から80年代前半にかけて、ジャズとファンクをうまく調合した味わい深いディスコをいくつか発表しておりました。

1972年に米アトランタで結成した黒人男性5人組。地元でバンド活動をしているうちに評判となり、1976年、ポール・デイビスやニール・ダイアモンドが輩出したバング(Bang)というレーベルからデビューアルバム「Good Enough」をリリースしました。

そのアルバムの中に入っているシングル曲「Dazz」こそが、この人たちの最大のヒットであり代表曲です。文字通り、ディスコ(Disco)とジャズ(Jazz)をうま〜くメロウに融合させた逸品で、米ビルボードR&Bチャートで1位、米一般チャートで3位、米ディスコチャートで7位まで上昇しました。

ほかの曲群もしかり。サタデー・ナイト・フィーバーが公開になるまさに1年前、ディスコの可能性にいち早く目を付け、ディスコならではのシンプルでダンサブルなリズム構成を土台にしつつ、ホーンセクションやベースなどの基本楽器をきちんと取り込んだジャズファンクを展開しています。

ただし、なんといってもこの人たちの特徴は、「ぴーぴーひょろろ、ぴーひょろろ♪」と時折、響いてくる笛の音色にあります。奏者は、リードボーカルもサックスも器用に担当していたジミー・ブラウンなる人物で、「Dazz」の中間奏でもしっかり存在感を示しています。

ジャズ系フルートのディスコといえば、ハービー・マン、ボビー・ハンフリーあたりを思い出します。D.D.サウンドの「カフェ」とか、トランプスの「トランプス・ディスコのテーマ」とか、ヴァン・マッコイの「ハッスル」といったディスコのメジャーどころでも、フルートは不可欠な存在になっております。繊細な音ですので主役になることは少ないとはいえ、フルートは、地味ながら意外にアゲアゲな曲でも威力を発揮しているわけです。

さて、デビューアルバムがかなり好調だった彼らですけど、1977年に発売した2枚目「Brick」からは、R&Bチャートで2位まで上昇した「Dusic」というさらにフォンキーでディスクテックなヒット曲が生まれました。ここでも、ジミーさんのフルートが効果的に使われています。前半からドラム、ベースや吹奏楽器を軸にした重厚なうねうねファンキーぶりを見せつけつつ、「あれあれ?まだかな」と思ったあたりの中間奏で突如、「ぴーひょろろん♪!」と素っ頓狂に登場してきます。

けれども、こうした勢いもだいたいここらへんまでで終息です。その後も、「Stoneheart」(79年、ボズ・スキャッグスを手がけたビル・シュネーがプロデュース)、「Waiting For You」(80年)、「Summer Heat」(81年、「ゴーストバスターズ!」のレイ・パーカー・ジュニアがプロデュース)、「After 5」(82年)と、立て続けにアルバムをリリースしたものの、セールス的には下降線をたどり、あえなく「過去の人たち」に。

それでも、ありそうでなかった「Disco + Jazz」というコンセプトを初めて明確に打ち出した先駆者として、また華麗なる「フルート・ディスコ」の実践者として、なかなかインパクトがある活動ぶりだったとはいえましょう。ディスコらしい能天気かつおバカさんな要素はほとんど感じられないにしても、正統派の“ザ・ファンク・ディスコ”として一定の評価は得られると思います。

CDは各アルバムとも再発されています。写真は、4年前に英国のレーベルFunky Twon Grooveから発売された「Waiting For You」。アルバム全体がディスコ中心の軽快な内容になっている上に、あの「Dazz」と「Dusic」のロングバージョンもボーナストラックとして入っていてお得感があります。

バラバス (Barrabas)

Barrabasヨーロッパの重要アーチストとしてバラバスを挙げておきましょう。スペインで1971年に結成した古い男性バンドでして、最初は初期のヒット曲「Woman」(1972年)に代表されるようなちょっとサイケで演歌調な(?)音を発信していた人々です。

70年代中期にはディスコに傾倒し、ファンクやジャズやサルサ、それにロックの要素を取り入れたユニークな曲を連発しています。そして74年発表の「Hi-jack」(YouTubeのミックスもの参考)が全米ディスコチャートで2位まで上昇。ここでディスコバンドとしての名声を固めたといえます。

Hi-jackは、以前に紹介したハービー・マンのハイジャックの原曲で、こちらはフルートなしのバージョンとなります。どっちも軽快な感じの佳曲ですが、いまフロアでかかっても、「思わずのけぞるほどイイ」というほどではありません。やや地味です。

この後、バラバスは「Mellow Blow」(75年、全米ディスコチャート8位)、「デスペレートリー」(76年、同6位)などのダンスヒットを飛ばしますが、だんだんと失速していきます。ただし、80年代に入ってからもアルバムは何枚も出していまして、とりわけ本拠地のヨーロッパでは、多要素を取り入れた先駆的なバンドとして、いまなお評価の高い人々です。

というわけで、スペイン盤を中心に再発CDがかなり出ております。写真はその一つで、81年発売の「Piele De Barrabas」であります。この中では1曲目の「On The Road Again」が秀逸。おとなしめで哀愁調のメロディーに、しわがれた感じの男性ボーカルが乗っかっているのですが、シンセを使用してしっかりビートを刻んでいるので、踊り場にも適しているといえましょう。

日本では非常にマイナーではありますが、独特の位置を占めているバンド。あえて言えば、同時期の「ジェパディー」(83年)の大ヒットで知られるグレッグ・キーン・バンドとかが近いかもしれませんが、なかなか類似の音が見当たらない、不思議なバンドです。
CDのライナーノーツ書きました(広告)


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