ディスコ堂 by mrkick

音楽に貴賎なし ―Discoの考察とCD批評

フィフティーフォー

ブレインストーム (Brainstorm)

Brainstorm_Stormin'今回は久々にノリノリ絶好調な「王道ディスコ」と参りましょう。左写真を見てお分かりのとおり、脳天串刺し稲妻パワー全開の「ブレインストーム」(ブレインストーミングではない)であります。

米デトロイトで1976年に結成した9人組ディスコ・ファンクグループ。後に売れっ子となるプロデュースチームのジャム・アンド・ルイスやSOSバンド、アレクサンダー・オニールたちを輩出した米Tabuレーベルが、創業と同時に最初に世に送り出したアーチストです。

代表曲は、なんといってもデビューアルバム「Stormin'」からの2枚目のシングルカット「Lovin' Is Really My Game」(77年、米ディスコチャート14位、R&Bチャート14位)。これまたホント冗談抜きに「これを踊らずに死ねるかぁ!」と、人目をはばからず雄たけびを上げたくなるような盛り上がりぶりで、全米のディスコで大人気となりました。

15年前にアメリカで公開された、ニューヨーク随一の放蕩ディスコ「54(フィフティーフォー)」の回顧映画「54」でも、アホアホなフロアを彩る嵐(Storm)のイケイケチューンとして使用されております。昨年5月に63歳の若さで亡くなったべリタ・ウッズ(Belita Woods)の歌声はなかなかに迫力があり、ヘッドホンで聴くと文字通り脳天を突き抜ける浮揚感覚を味わえます。

脇を固める華麗なギターやストリングスのほか、ベース、ドラムのリズム隊もしっかりと存在感を発揮しており、70年代生演奏ディスコの神髄を見るかのようですね。実際、驚くほどキャッチーな名曲として、ベティ・ライトシルベスターもリメイク(その1その2)しています。

ただ、その常軌を逸したハイテンションゆえに、事実上この1曲で終わってしまったのが辛いところ(つまり一発屋のトホホ)。「Stormin'」以降、78年に「Journey To The Light」、79年に「Funky Entertainment」と、「ディスコブームに乗っとけ乗っとけ!」とばかりに立て続けにアルバムをリリースしますが、セールス的にデビュー作ほどの勢いはありませんでした。その後はメンバーが1人抜け、2人抜けして壊滅状態……う〜ん、ディスコ堂的にはよくあるお話ですが、残念であります。

それでも、中身はきちんと折り目正しいミュージシャンだったのは疑いをいれません。各アルバムをじっくりと聴いてみると、デビュー作では最初にシングルカットされた「Wake Up And Be Somebody」という「Lovin’ Is Really…」同様の“四つ打ち”アップリフティングなディスコ曲が入っております。2枚目収録の「We’re On Our Way Home」は、イントロの「ぐるぐるうにゃうにゃベース」が渋みを効かせる秀逸なミディアムダンスチューンに仕上がっていますし、3枚目の「Hot For You」も、グルーブ感あふれる典型的なディスコファンクの佳作になっております。

しかも、デビュー作収録の隠れた名曲「There Must Be Heaven」に見られるように、美メロバラードも律儀にこなすところがプラス評価です。メンバーのうち、べリタ・ウッズはジョージ・クリントン軍団のP-Funk All Starsに、ベース担当のJeryl BrightはCameoにそれぞれ移ってしばらく活躍を続けています。実力があっただけに、一発屋の扱いにしておくのはちょっともったいないようなグループだったといえるでしょう。

CDについては、一応アルバム3枚とも再発で出ています。とりわけデビュー作は長らくCD化されていなかったのですが、本家Tabuが最近になって再発盤をリリースしました(写真上)。古い音源ということもあって音質は今一つな感もありますが、「Lovin' Is Really…」のレアな12インチバージョンがボーナストラックとして収録されていますので、今のうちに触手を伸ばすのもよいかもしれません。

ヴィオラ・ウイルス (Viola Wills) …ついでに緊急告知!

Viola Wills5月6日、往年のディスコアーチストがまた一人、がんでこの世を去りました。「Gonna Get Along Without You Now」(80年、ビルボードディスコチャート52位)、「If You Could Read My Mind」(80年、同2位)などのヒットで知られるヴィオラ・ウイルスです。享年69。

60年代に大規模な黒人暴動が発生したことで知られる米ロサンゼルスのワッツ地区生まれ。貧しさの中で歌手を志し、70年代にオーケストラ・ディスコで一時代を築いたバリー・ホワイトに見出され、バック・ボーカリストなどの音楽活動を本格化させました。それでもなかなかチャンスに恵まれず、40歳になってようやく「Gonna Get Along Without You Now」がヒットして、ディスコ歌手として名を上げました。

日本ではそんなに有名ではないものの、特に欧米のゲイ・ディスコ・フリークの間では人気が高かった人です。ジャンル的には柔らかめのハイエナジーが中心。メロディーラインが美しいカバー曲が多く、特に最大のヒット「If You Could…」は、サビの部分が伸びやかで高揚感があります。

この曲は、もともとカナダのロックシンガーGordon Lightfootが69年にヒットさせており、それをヴィオラがカバーして再ヒットさせました。4年前に当ブログで紹介したことがあるディスコ映画「54」(98年)でも、ハウスディスコグループ「Stars on 54」によるカバーが主題歌として使われています。

よく聴くとこの曲のメロディーのサビは、70年代にジョージ・ベンソン、さらには80年代にホイットニー・ヒューストンがヒットさせたバラード「Greatest Love Of All」にとてもよく似ています。実際、80年代後半には「Greatest…の作者が、Gordon氏の曲を盗用した」との疑惑も持ち上がったようですね。まあ、それぐらい普遍的に耳ざわりの良いメロディーだったということにはなります。

ほかのディスコ曲としては、「Stormy Weather」(82年、同4位)があります。個人的には、後にネイキッド・アイズも歌ってヒットさせたカバー曲のもろディスコ「Always Something There To Remind Me」(80年)とか、シブいR&B調の「Dare To Dream」(85年)なども、なかなかヨイ出来だと思います。

特別に歌が上手いわけではありませんが、ややハスキーで個性的な声質が持ち味でした。メジャーにはなれなかったけれど、いつまでも記憶に残りそう。そんな歌手だったと思います。

CDは、写真の加Unidisc盤のほか、米Hot Productions盤のベストがあります。ただ、この人は80年代後半以降、ハウスリメイクの曲を大量にリリースしており、これらのベスト盤にもかなり混ざってしまっています。私のような70〜80年代のディスコ好きにとって最良のCDは、今のところ見当たりません。


*5月20日追記

久々の投稿がやっと終わった…とホッとしていたら、直後に「どうしてもお前のブログで俺のイベントを宣伝してほしい」とのメールが、海外から突然届きました。場所はなんと!…フランスはパリ。しかも日付は5月23日…いくらなんでも無茶です。しかし、長年の友人にて、ダメもとですが、義理を果たすべくここに追記で掲載させていただきます。

店名:「La Java」(参考地図)(英文ガイド
住所:「105 Rue du Faubourg du Temple 75010, Paris, France」
地下鉄駅:「 Belleville 」
日時:2009年5月23日午後11時〜(現地時間)
DJ名:Jussi Kantonen (ユッシ・カントネン=下右写真=、HP

この人は、当ブログでも何度か取り上げているフィンランドのディスコ研究家で、本業は建築家。「Saturday Night Forever」という著名なディスコ解説本の著者であるほか、欧州各地を駆け巡る売れっ子ディスコDJでもあります。

ものすご〜く日本びいきで、毎年のように来日しては、コアなディスコ・レコード(西条秀樹とかピンクレディーとか)や、日本のポルノおよびアクション女優(池玲子とか梶芽衣子とか)のむか〜しのビデオとかを大量に購入して帰るという「フィンランドが生んだサブカル(特に日本モノ)の権威」でもあります。ディスコ的にも、これまでグロリア・ゲイナーとかボリス・ミドニーとかD.C.ラルーとか、メジャーどころのディスコ・ミュージシャンへのインタビューを次々と実現しており、世界ディスコ界でもリスペクトされているのは事実です。私もいつも、彼の博学多識ぶりには感服しております。

ですから、私だって、とても面白そうな彼のプレイを体験(うっふ〜ん)してみたいのはやまやまです。しかし、なにしろ3日後のパリ。万が一、パリ界隈在住者または旅行予定者でこのブログをご覧のディスコフリークの方がおられましたら、立ち寄ってあげてくださいませ。何卒よろしくお願いいたします。ローテーションとしては、「時代は70〜80年代初頭。最初はマカロニ・ウエスタン系から入って、途中カンフー系をほどよく絡めて、後半にテーマ・オブ・ジャパンで盛り上げていこうと思っている」(!?)とのことです。う〜ん、あばんぎゃるど

Jussi Kantonen
CDのライナーノーツ書きました


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