Junior謹賀新年。お久しぶりで〜す。今回は景気よく、イギリス発ソウルの先駆者でもあるジュニアさんと参りましょう!

彼の代表曲は、何といっても1981年発売の「Mama Used To Say(ママ・ユース・トゥ・セイ)」(全米R&Bチャート2位、全米ディスコ4位、全米総合チャート30位)。特徴的なファルセット・ボイスが生かされた80年代ソウル・ディスコの傑作といわれています。

この曲は、プロモーションビデオ(PV)もチープなCG映像にあふれかえる陽気さが特徴でなかなか面白いのですが、アルバム・バージョンや12インチ・バージョンだと、イントロの最初にボンゴのリズムが忍び足で入ってきたかと思うと、途中からは「かんかんころりん、かんころりん」とおとぼけパーカッションが彩りを添えるというひねり技を展開しています。

この「かんころりん」は、ジュニアのベストアルバムCD「The Best Of Junior」(写真)によると、本人と制作スタッフが「何かインパクトのある音を加えたい」というわけで録音作業中に急きょ挿入したもの。なんと録音スタジオの近所から牛乳ビンを何本か入手し、それぞれに水を入れて音色の違う「ビン打楽器」を作って即興で音を入れたのでした。

そんな人知れぬ工夫もあって、見事に世界的なヒット曲を生み出したジュニアさん。それまでは黒人ソウル音楽といえばアメリカ発がお定まりだったわけですが、イギリス人の黒人として米国市場で売れた草分けの歌手になったのでした。

彼は「ママ」以降も、「Too Late」(81年、R&Bチャート8位、ディスコ67位)、「Unison」(83年、R&B44位)などの軽快なフロア・ヒットをいくつか飛ばしました。さほど売れなかったものの、84年発売の「Somebody」も重量感のある音作りで結構なダンサブルぶりを発揮しており、実際にディスコでもよく耳にしております。87年には、少し前に紹介したキム・ワイルドとのデュエット曲のロックディスコ「Another Step Closer To You」を本国イギリスを中心に大ヒットさせました。

80年代後半以降は、アーチストとしては人気が下降し目立った活躍はできなくなりましたが、エイミー・スチュアートやマキシ・プリースト、シーナ・イーストンといった他の人気歌手に楽曲を頻繁に提供するなど、作曲家・制作者としての才能を開花させています。

ジュニアさんは1961年生まれ。本名はNorman Giscombe Jr.といいまして、そこから「ジュニア」というアーチスト名が付けられました。80年ごろには早くもプロとしての音楽活動を始めていたのですけど、その初期の81年に本名でリリースした「Get Up And Dance」という曲がありまして、これがかなりレアで良質なディスコ曲となっております。同じイギリス育ちのソウル・ディスコ歌手だったビリー・オーシャンにも似た感じ。まだ20歳そこそこだったわけですので、相当に早熟なアーチストだったといえるでしょう。

この人のCDは、「ママ」が入ったデビューアルバム「Ji
」(1982年)以外はあまり再発されていません。さほどヒット曲もないので、ディスコ時代のヒット曲が12インチバージョンも含めてほぼ網羅された上記ベスト盤(米Mercury盤)が無難かと思われます。