Sam Records今回は、70年代のあからさまなハッピー・ディスコ、ジョン・デイビス・アンド・ザ・モンスター・オーケストラを取り上げてみます。活躍期間は短いにせよ、もう聴いているだけでおなか一杯になるグルメチューンを連発した人々でして、私が個人的に好きなアーチストとなっております。

以前に紹介したCJ. & カンパニーとかマイク・シオドア・オーケストラーのような生粋ディスコ・グループ群の一角を占める彼らは、文字通りジョン・デービスというサックス奏者の音楽家が中心となり70年代半ばに結成。コーラス隊、リズム隊、ホーンセクション隊、ストリングス隊、キーボード(ピアノ)隊で構成する「オーケストラディスコ」で最初からがんがん押しまくり、新興ディスコレーベルのSAMレコードから出した76年のファーストアルバム「Night And Day」の同名曲が米ディスコチャート5位に入って頭角を現します。

その後もUp Jumped The Davil(77年、米ディスコチャート5位)、The Magic Is You(同、同6位)などのダンスヒットを飛ばし、頂点を迎えたのが3枚目のアルバム「Ain’t That Enough For You」(78年)でした。そのタイトル同名曲のシングルは、ディスコチャートで4位まで上昇し、最大のヒットとなりました。それまで残してきたややファンキーで玄人っぽい雰囲気までをもあっさりと吹き飛ばし、無邪気かつ天真爛漫。まさに仰天の欣喜雀躍チューンとして、ディスコ史にしっかりと名を刻むことになりました。日本でも「ピエロの星占い」というすっとぼけた邦題で人気を博し、夜な夜な享楽の宴に集う老若男女を虜にしたわけです。

この曲は、バイオリンの音色が小気味良いオーケストラディスコの魅力もさることながら、「こんなに愛を注いでいるのにまだ足りないの?」と切なく訴えるコーラスのメロディーラインがどこかもの哀しくて気になる。そして天空から微笑むミラーボール神に、踊念仏で祈りを捧げたくなる(神仏習合だから)。...でもそれが、ディスコフロア全体に絶大なる高揚感を生むわけです。途中、「カンカン、コロリン、カンコロリン♪」と入ってくるパーカッションの中間奏も、DJフレンドリーなニクい演出です。

続く79年には「The Monster Strikes Again」を発売。この中からは「Ain't…」より少々トーンを落としつつ、持ち前の美メロ路線を保っているLove Magicという曲がヒット(同5位)しました。

ほかにも、アルペジオシンセサイザーの音色が当時としては斬新なHollerとか、昔流行ったテレビドラマ「刑事コジャック」のディスコリメイクといったユニークな曲を世に送り出しています。80年代に入ってディスコブームが終わるとまったく姿を消してしまった彼らですが、「Ain't…」という秀逸ディスコを残したということで合格点を出しておきます。

ちなみに、CD化の状況がまた哀しい。ジョン・デイビス・オーケストラ自体のCDは皆無です。かつてはジョン・デイビスをはじめとするSAMレコードのディスコ曲を集めたベスト盤が2〜3枚アメリカから出ていたのですが、今は入手困難。うち「SAM Records Extended Play」(写真)には、オイシイ「Ain't...」の9分フルバージョンが入っていて貴重ではありました。コンパクトな6分バージョンであれば、少し前に紹介した驚天動地のディスコシリーズ「Disco Discharge」の「Diggin' Deeper」に収録されています。

次回も、このあたりの70年代ウキウキチューンを豪勢に紹介しようと思っています。