Jacksons予想されたとはいえ、連日のマイケル報道の過熱ぶりには驚かされます。あらためて偉大さを感じざるを得ません。・・・・・・というわけで、今回も取り急ぎ「最後の世界的スーパースター」マイケル関連で「ジャクソンズ」です。

ジャクソン5が、「契約金が安すぎる」ことなどを主な理由として、6年間在籍したモータウンからCBS(現在のエピックの前身)に移籍したのは1975年のことでした。モータウンとの間で訴訟沙汰となり、移籍のための和解条件としてグループ名が使えなくなってしまい、ジャクソンズへの改名を余儀なくされたのです。

ジャクソン5を構成していた兄弟で一人だけ、モータウンのベリー・ゴーディー社長の娘と結婚していたジャーメイン・ジャクソンだけが移籍せずにソロとして残留し、末弟のランディーと交代しました。この移籍騒動により、モータウンはドル箱スターを失い、その栄華にも陰りが見えるようになります。

このころはジャクソン5のセールス自体、低迷し始めていたのですが、「災い転じて福となす」ということで、ここで神風が吹いたのです。ご存知「ディスコブーム」であります。

ソウル・グループとして出発したとはいえ、マイケル少年を中心にもともとダンスミュージックを得意としていたジャクソン兄弟は、75年、、モータウン時代の最後のアルバムとなった「Moving Violation」を発表しました。もろにディスコを意識した内容で、この中からは「四つ打ち」の隠れた名曲「Foever Came Today」が全米ディスコ・チャートで4週間1位となる大ヒットとなりました。

その後、ランディーを迎えての「ジャクソンズ」になってからもディスコ路線を軽やかに継続。五人のコーラスが美しく印象的で、リードボーカルのマイケルが「ディスコ〜♪ディスコ〜♪」と連呼する「Blame It On The Boogie」(79年、ディスコチャート20位)、「Shake Your Body」(同、同)などのディスコもののシングル、アルバムを数多くリリースしました。

彼らの偉いところは、アメリカでディスコブームが去った後にもディスコを見捨てなかったことです。80年には「Can You Feel It」、「Walk Right Now」、「Lovely One」というダンサブルな名曲3曲が収録されたアルバム「Triumph」を発表し、再び全米ディスコチャート1位を獲得したのでした。

さらに84年には、「もう一丁ディスコだよん!」というわけでアルバム「Torture」を発表。この中からは、ソロで大ブレイクを果たしたマイケルが、あのミック・ジャガーと絶妙なデュエットを披露する「State Of Shock」が全米一般チャート3位、R&B4位、ディスコ3位という大ヒットを記録しています。さらにアルバム同名曲「Torture」(ディスコ9位)と、「Body」(同73位)もディスコで人気を博しました。

いやあ、このあたりの曲は、当時の日本のディスコでももう定番ど真ん中! しかも、「ジャクソンズ」名義とはいっても、主役はやはりマイケルでした。80年代は、彼にとってはキャリアのピークでして、もう八面六臂の活躍です。台頭著しかったMTVで流れたPV映像を見ても分かるとおり、歌声、ダンス、スタイルともに最も美しく、完成度が高かった時期だと思いますね。

90年代以降は、マイケルの人気も徐々に下降線を辿り、同時にジャクソンズも影が薄くなりました。それでも、少し前の「80年代ブーム」にも見られたように、音楽の流行は繰り返されます。そのたびに、真っ先に思い出される名R&Bグループの一つとはなったわけです。

こう考えると、マイケルって天才だから「まっとうな青少年期」がなかったようですね。幼少時から常に兄達以上、大人以上に働いているような・・・・・・。契約上のトラブルだけではなく、父親との確執もあったみたいですしね。

まだ10歳そこそこでのデビューでしたから、真剣に「プロの歌手になりたい」と志していたわけでもなかったと思います。「どうしてもスターになりたい」と強い意志を持ち、名門大学を中退してまで田舎からニューヨークに移り住み、ヌード撮影やディスコミュージシャンのバックボーカルなどの下積みを経て、ようやく大スターの座を掴んだマドンナとの対照が際立ちます。

だからこそ人生の後半、なくしたものを探しに行くかのように、子供だけが理解できるようなネバーランド的ファンタジーの世界に救いを求めたのかもしれません。なんだか気の毒でもあります。あらためて「人の幸せって一体・・・・・・」と感慨ひとしおであります。

さて、ジャクソンズのCDですが・・・・・・おめでとうございます! 現在の盤権を持つソニーが近く「Triumph」(トライアンフ)、「Torture」(トーチャー)などの紙ジャケット盤を一斉に発売します。ちょっとノスタルジックにレコードの雰囲気を味わい人には、これもいいかもしれません。

しか〜し!、私が最もお薦めしたいのは、まずは上写真の「Original Album Classics」という、同じソニーBMGが昨年発売した輸入盤であります。ジャクソンズのアルバム5枚が入った豪華ボックスセットで、海外アマゾンなどを利用すれば(それがちょっと面倒だが)、送料込みで2000円程度で購入可能なんですねえ。ものすごくお得であります。

さらに、20年前に日本で発売された「ベスト・リミックス」(下写真)も超おすすめです。「Shake Your Body」とか「Blame It On The Boogie」、「Torture」などの当時のディスコバージョンが6曲、収録されています。「CDなんだから、どうせならもう2〜3曲収録してほしかったにゃあ」と言いたいところですが、どれもCDとしてはかなり貴重なバージョンとなっております。いまなら国内アマゾンのサイトや中古品店で、1000円前後で購入できるようです。

Jacksons Best Remix








*7/9追記

「ないだろう」と思っていたジャクソンズ(ジャクソン5)のディスコ関連の動画を2つ、Youtubeで見つけたので追加しておきます。最初は1974年の「Dancing Machine」で、マイケルが創始者とも言われる「ロボットダンス」部分が、「ピコピコピコ」というおトボケ電子音とともに入ってくる貴重なライブ映像です。もう一つは、テンプテーションズのヒットをダンサブルにリメイクした「Hum Along And Dance」(73年)で、これもライブ映像としては珍しいものです。