Stacey Qマドンナが圧倒的な存在感をもって登場した80年代半ば、似たような“二番煎じ”女性ポップ歌手が続々と現われました。その代表例が、今回紹介するステイシーQですね。86年に「トゥー・オブ・ハーツ(Two Of Hearts)」が全米一般チャート3位まで上昇。全米ディスコチャートでも4位になりました。

日本では80年代後半の「バブル・ディスコ」に属しますね。私はディスコでももちろん聞きましたし、テレビの深夜番組でゲストに登場して、口パクで歌っていたのも思い出しますな。

やはりマドンナ的な、甘ったれた感じのセクシーボイスがウリであります。曲調の基本はハイエナジー&ユーロビートで、当時よく使われていたマシンガン風ディレイエフェクトを使った「アアアアアアアアイニージュー♪♪」のイントロでもお馴染みでした。まあ、今聴くとそれほどインパクトを感じない曲ではありますが、事実上の一発屋の彼女にとって唯一最大のヒット曲であり、「ステイシーといえばアイニージュー」という代名詞が成立するとは言えるでしょう。

ステイシーQ(本名:Stacey Swain)は1958年カリフォルニアに生まれ、80年代初頭にインディー系のシンセポップバンドである「Q」、さらにはその改名後の「SSQ」のリードボーカルとして注目されるようになり、ソロになってヒット歌手になりました。

SSQ時代は、例えばベルリンのテリー・ナンとかミッシング・パーソンズのデイル・ボジオとかゴーゴーズのべリンダ・カーライルのような「かわいこちゃん&ポップロック・バンド」路線だったのですが、いまいち売れなかったのでマドンナ化し、まんまと成功したわけです。

マドンナ路線の女性ポップ歌手は当時、「タッチ・ミー」などで知られるサマンサ・フォックスとか、「ベイビー・ラブ」で知られるレジーナとか「キープ・ミー・ハンギング・オン」のキム・ワイルドとかがいました。日本でも本田美奈子とかレベッカなどが「和製マドンナ」なんて言われてですね。確かに曲調や声質などが、マドンナに似せたような曲や歌手が多かった時代です。

ステイシーは「アイニージュー」の後、小ヒット「We Connect」(86年、一般チャート35位)、「Don't Make A Fool Of Yourself」(88年、ディスコチャート4位)などを出して、それから失速。それでも、コンサート歌手や女優として、現在まで芸能活動はしているようです。

この人のソロ時代のCDはけっこう出ていますね。やはりソロデビューアルバム「Better Than Heaven」(写真)に尽きると思います。これに「アイニージュー」と「We Connect」が収録されています。ええと、それから、貴重なSSQ時代のYouTube映像がありましたので、以下張っておきます。