KC & The Sunshine Bandハリー・ウエイン・ケーシー(KC)率いるK.C. & The Sunshine Band(サンシャイン・バンド)は1973年結成。レーベルはマイアミディスコの総本山TKレコードです。ファーストアルバムはふるいませんでしたが、KCがレーベル仲間のジョージ・マックレーのために作った「ロック・ユア・ベイビー」がヒットを記録したため、KCバンドも注目されるようになります。

75年発売のセカンドアルバムではいよいよブレーク。シングルカットされた「ゲット・ダウン・トゥナイト」と「ザッツ・ザ・ウェイ」がそれぞれビルボードのポップチャートとR&Bチャートで堂々1位を獲得したのでした(ただし、なぜかディスコチャートではベスト10に入らず)。

続く76年に発売された3作目「パート3」でも、「シェイク・ユア・ブーティ」や「キープ・イット・カミング・ラブ」などのヒットを飛ばします。

この人たちの曲調は「明るいラテン&南国調」。それにモータウン伝統のダンス・ソウルサウンドが絡んだ感じですね。生音中心で、ライブを観ても実に楽しそうに歌い、演奏しております。KCは、米フィリーサウンドのプロデューサーチームであるギャンブル・アンド・ハフや欧州のジョルジオ・モロダーやセローンらと並ぶ、まさに初期ディスコの立役者です。

個人的に好きなのは「ギブ・イット・アップ」(83年)。このあたりになるとシンセサイザーを駆使しており、従来のマイアミサウンドを踏襲しつつも、メリハリが利いた良質なダンスサウンドに仕上がっております。ディスコでもバリバリかかっていました。音楽的に言っても、この曲は彼らの一つの到達点を示しているといってもいいのではないでしょうか。

ただ、KCとレコード会社との意見の食い違いなどが露呈し、バンド内はぎくしゃくしてきました。チャート的にも今ひとつふるいませんでした。

やはり本国アメリカで「おバカディスコ」が受けいれられなくなったことが大きかった。彼らの時代は既に終わってしまっていたのです。しかも、KC自身、82年に交通事故に遭い、長期に渡って半身不随になるという悲劇に見舞われています。

それでも、「ザッツ・ザ・ウェイ、アハ、アハ♪」は今でもディスコの合言葉。一時代を築いたバンドだとは言えましょう。

KCバンドのCDは、ベスト盤がけっこう出ております。写真は日本の東芝EMI盤。主なヒット曲が網羅されている上、「ゲット・ダウン・トゥナイト」と「ザッツ・ザ・ウェイ」のロングバージョンが収録されており、最も完成度が高いと思います。