
60年代からジャズ、ソウル畑のプロデューサーおよびアレンジャーとして活躍。手がけたアーチストはキャンディ・ステイトン、ジョニー・テイラー、エディ・ケンドリックス(元テンプス)など多彩ですが、彼自身の存在感は今ひとつです。はっきり言って無名です。
でも、そんな彼が76年に残した「Tommy Stewart」というアルバムは、発売当時はまったく注目されなかったものの、80年代以降、70年代の珍しいソウル/ファンク/ジャズの音源を指す「レア・グルーブ」の代表例として突如、注目を浴びました。世界中のディスコやクラブで盛んにプレイされるようになり、21世紀に入った現在でも、「ディスコ・ファンクの元祖」との評価を得ているほどです。
このLP、ディスコの一つのルーツではあるだけに、以前から欲しいとは思っていたのですけど、如何せん「レア」だけに、見つかりませんでした(あったとしてもたぶんバカ高い)。まあ、「80年代シンセディスコ万歳」派の私としては、本筋モノではないため、放っておいていたわけです。
ところが、2、3年前のこと、その「Tommy Stewart」が、何の因果かアメリカでCD化されてしまったのでした。もちろん即買いです。聴いてみると、う〜ん、確かにディスコの元祖といわれるだけの内容ではありましたな。スライ&ザ・ファミリーストーンズ、オハイオ・プレイヤーズ、アイズレー・ブラザーズのような正当ファンクの系譜を受け継ぎつつ、女性コーラスをフィーチャーしたヴァン・マッコイ風なディスコの味付けが施されています。
アルバム全8曲中、最も有名なのがミディアムスロー・ダンサーの「Bump And The Hustle Music」。さらに、「Make Happy Music」「Atlanta Get Down」「Disco Hop」など、タイトルを見ただけでもいかにもディスコな曲が並んでいます。お茶目なおバカさ(ディスコに必須)、それに派手さには欠けますが、安定感のあるファンクネスをむんむんと発散していて、個人的には非常に気に入っております。
アマゾンとかを見る限り、このCDは今も比較的、入手しやすいようです。けれども、間もなく「正真正銘のレア」になってしまうと思われます。コテコテのハレルヤビバディスコに抵抗感を抱く方々も含めて、久しぶりにおススメの1枚なのでありました。
おまけ:(最近発見したYouTubeの変てこディスコメドレー。オランダのゲイオヤジが歌って踊ります。皆さんはいくつ分かりますか?)