Mary Jane Girlsアポロニア6の次は、自然のなりゆきでメリー・ジェーン・ガールズであります。“実力派ディスコピン芸人”としては、プリンスの先輩格であるリックジェームスが、新しくのさばってきたプリンスを狙い撃ちするべく、同じような美女グループを世に送り出し、なかなかの好成績を上げました。

「メリージェーン」とは、英語の俗語で「マリファナ」の意味。ドラッグに溺れまくった“ディスコ界きっての無頼派”リックらしいネーミングではあります。

彼女たちはもともと、リックのバックボーカリストだった人々。ですから、歌唱力は「ルックス優先」のアポロニアやヴァニティよりやや上。かといって「ルックスは下」だとは決して申しません。

最初のアルバムは、「Mary Jane Girls」(1983年)。この中からは「キャンディー・マン」、「オール・ナイト・ロング」、「ボーイズ」のヒット曲が生まれました。

特にミディアムスローの「オール・ナイト・ロングなどは、後に何度もサンプリングされるなどして、めちゃめちゃR&Bの定番曲と化しています。ディスコ的なオバカさはまるでなく、アダルトな一曲。踊るにはかったるいのですけどね。あと、キャンディーマンもディスコではときたまかかっていました。

この手のアーチストはすぐ消滅するケースが多いのですが、2枚目のアルバム「Only For You」(85年)も売れました。ディスコ的には、これに入っている「イン・マイ・ハウス」(全米ディスコチャート1位)はおなじみのファンキーナンバーですな。フロアでは人気でした。曲調は、プロデュースのリックジェームスそのものです。

実力的には、単なる“女の子グループ”以上のものを発揮した彼女たち。けれども、間もなく3枚目のアルバムにも取り掛かろうという矢先、不運に見舞われます。リックさんがドラッグにやっぱりはまってしまい、所属していたモータウンをクビになったのです。

本人たちはやる気満々で、「違うプロデューサーと組んで(SOSバンドで知られるテリー&ルイスといわれている)、絶対にアルバムを出すのだわ」と公言してたようですが、それも叶わず、87年には解散してしまいました。

それにしても、リックさんは天才肌の破滅型。変わり者といわれつつも、しばらくは勢力を保っていったライバル・プリンスとは対照的でした。ドラッグ中毒はついに治らず、04年に56歳で死去しております。

師匠同様、名前からして破滅的な「メリージェーン」たちは、とても短命でありました。それでも、リックの息がかかった異色の「女性ファンクグループ」として、後世に名を残せたとはいえましょうか。

えーと。CDはまずまず再発されております。写真の米国盤ベストは、12インチバージョンが豊富に入っているので、一番よいかと思います。