
彼女は1954年英国生まれの歌手。ですが、地元ではチャンスがつかめず、ボニーMやドナサマーといった「ミュンヘン・ディスコ」の発信地として知られたドイツのミュンヘンへと渡ります。そこでプロデューサーへの売り込みに成功。ファーストアルバム「Cosmic Curves」を発売しました。
アルバムからの最初のシングルカット「オートマチック・ラバー」(78年)は、米国では無視されたものの、英国(最高4位)をはじめ欧州、南米、アジア各地で大ヒット。続く「メテオ・マン」もヒットし、欧州ではかなりのスター歌手になったのです。
ただし、このアルバムって、なかなか奇天烈であります。コンセプトはディスコらしい「宇宙とSF」。ジャケットの彼女のコスチュームにもその雰囲気があらわれていますね。オートマチック・ラバーのプロモーションビデオは、まさにキワモノで愉快です。歌唱力もはっきりいってイマイチですねえ。
「SOS」は、セカンドアルバム「Thunder & Lighting」に入っています。ところが、発売は1980年。日本でヒットしたのは83〜84年ごろですから、タイムラグがあったのです。当時、SOSがディスコでかかると常々「何だか音が古いな」と感じていました。3年程度で古臭くなるのですから、ディスコミュージックも進化が速いものですな。
まあ、SOSも、曲自体は「オートマチック」とほぼ同じ路線で、やけに明かるいミーハー系の曲でしたので、日本でヒットしたというのも分からないわけではありません。メロディーラインには、日本人も好きそうな欧州風の“愛嬌”と哀愁が多少、混じっております。
この人のCDはなかなかありません。写真は「Cosmic Curves」と「Thunder & Lighting」のカップリングになっているやつで、なんとロシア盤。アナログレコードからの録音のようで、音質は今ひとつですけど。
彼女は現在、冬季オリンピックがあったイタリアのトリノ在住。アーチスト活動は続けており、EYS、DDE、EXPというハウスやテクノを制作する3つのレコードレーベルを自分で運営しているようです。