
中継するNHKのアナウンサーは盛んに「今日の音楽は70−80年代に世界中でヒットした曲を選んでいるとのことです。『誰が聞いても分かる』曲になっています」と連呼していました。ディスコファンとしてはなかなか心地よい言葉ですね。誰が聞いてもわかる「世界平和」な音楽なんですからねえ。ディスコもたいしたものです(断定)。
開会式では約1時間にわたり、各国選手代表の華やかな行進に合わせて、次から次へとディスコヒットが聞こえてきました。全部で35曲ほど。ドナサマー「ホットスタッフ」、シック「おしゃれフリーク」、グロリア・ゲイナー「恋のサバイバル」、サンタ・エスメラルダ「悲しき願い」、マイケル・ジャクソン「今夜はドント・ストップ」などなど、お馴染みの曲ばかりです。
一応、ほぼ全部の曲が分かったのですが(2曲歓声でよく聞き取れず)、ジミー・ボー・ホーンが2曲もかかったのにはちょっと驚きました。曲は「スパンク」と「ギミー・サム」というやつです。
ジミーは、このブログの最初の方で説明した米マイアミの「T.K.レコード」の黒人シンガーであります。1949年にフロリダ州に生まれ、地元の大学に通っているころ、TK関連会社からレコードデビュー。同じTKのスターであるベティ・ライトの大ヒット曲「クリーン・アップ・ウーマン」のアンサーソング「クリーン・アップ・マン」なんて曲を出すなどして、注目を集め始めました。
75年、「ギミー・サム」がディスコチャート11位にまで上昇して知名度も急上昇。その後「ゲット・ハッピー」(77年)、「スパンク」(79年)、「Is It In」(80年)と立て続けにディスコヒットを世に送り出しました。しかし、80年代中盤になるとTKレーベルの経営が悪化、ジミーの人気も急降下してしまい、人々の記憶の彼方へと消えていったのです。
しぶい太めの声が印象的な、良いアーチストだったのですけれどもねえ。曲も「ロック・ユア・ベイビー」を生んだマイアミのTKらしい、のどかな感じの曲が多かった。日本のディスコでも、スパンクとか「ダンス・アクロス・ザ・フロア」などが人気でした。
ジミーのCDはなかなかないのですが、写真のウエストサイドレーベルのベスト盤がまずはおススメ。スパンク、ギミー・サム、ゲット・ハッピーほか、ほぼすべての代表曲が網羅されています。アマゾンなどを見ると、今は発売レーベルがEMIになっていて、ジャケットのデザインが変更になっているようですが、中身は同じです。