
ジャジアクスはまだ10代だったベルズ兄弟(ロバートとロナルド)を中心に結成。当初はバンド名の通りにジャズをやっていました。初期のメンバー編成は8人。あらゆるセクションが一つになった「セルフ・コンテインド」グループの典型でした。
60年代後半にクール&ザ・ギャングに改名して名前が知られるようになり、73年の「ファンキー・スタッフ」のヒットでブレイクを果たします。75年にはアフロファンク系スローの名曲といわれる「サマー・マッドネス」もヒットさせています。
このあたりから俄然、彼らは調子を上げていきます。「ジャングル・ブーギー」「ハリウッド・スウィンギング」「ハイヤー・プレーン」「スピリット・オブ・ザ・ブギー」などのヒット曲を次々とリリースし、所属のDe-Lite(デライト)レーベルの看板アーチストになりました。
その後、70年代前半にスランプが訪れましたが、映画「サタデーナイト・フィーバー」でも使われた「オープン・セサミ」(76年)のヒットで復活を果たします。このときが、ちょうど彼らの「ディスコ・デビュー」でもあったといえます。
さらに79年、学校の先生をやっていた「ジェームス・JT・テーラー」がメーンボーカルとして加わり、「レディースナイト」を大ヒットさせます。ジャズ色はぐっと薄くなり、明るいポップなブラコン路線を歩むようになります。
これが商業的には超大成功し、80年代には「セレブレーション」「ゲット・ダウン・オン・イット」「フレッシュ」「ジョアンナ」「トゥナイト」「ミスレッド」…と、枚挙にいとまがないほどヒット曲を連発するわけですね。かつての「ジャズ風クール」のファンからは批判も聞かれましたが、まさに「JT様様」といったところでしょう。
私もディスコで「クール」をイヤというほど耳にしました。特に「セレブレーション」「フレッシュ」あたりは、盛り上げ時間帯の定番と化していました。メロディーも馴染みやすいし、ビートもしっかりしている。JTのクセがなくて伸びやかなボーカルがやはり一番の特徴です。無難な感じのメージャー系バンドとして記憶しています。
ヒット請負人のJTも1988年にソロに転向。これを機に、クールもついに退潮期を迎えます。ヒットが突然出なくなり、もはや今では「過去の人たち」となってしまいました。
クールのCDは20枚ほど所有していますが、ディスコ的には写真の米マーキュリーレーベル盤「ザ・12インチ・コレクション」が最も良いようです。「オープン・セサミ」から「フレッシュ」まで、70〜80年代のヒット曲のロングバージョンが目白押しです。珍しい「セレブレーション」のスペイン語バージョンというのも入っています。