トランスX私のディスコ体験は、81年から84年までは札幌、85年から89年ごろまでが東京中心になります。で、札幌を代表する釈迦曼陀羅というディスコで最もかかっていた曲の一つがトランスXでした。

このアーチストの情報は少ないのですが、カナダの男女デュオで、典型的なダンス・テクノポップ。ほどよくチープでキッチュなシンセサイザー音が、踊り心をくすぐります。代表曲は「リビング・オン・ビデオ」。基調ビートからはじまり、小節が進むごとに一つ一つ楽器音が重なっていくという、ありがちながらも乗せられる「音重ねイントロ」を特徴としています。途中で「ストップ!」と男のかけ声が入っていました。

もう一つ、好きな曲が「3-Dダンス」です。これはBPMが160ぐらいあって非常に速いのですが、男女ボーカルの掛け合いが実に軽妙でノリがよい。釈迦曼陀羅ではリミックスバージョンが主にかかっていたのですが、アルバムのものよりもエフェクターを多用し、ずっと重厚なつくりになっていて迫力がありました。

「リビング…」の12インチは地元のレコード屋ですぐに買えましたが、「3-D…」のリミックスはどうしても手に入らず、当時、東京六本木にあった「ウィナーズ」というディスコ用レコードショップに電話して注文したのを覚えています。まあ、届きはしたものの、音質はいまひとつでしたけれど。

久しぶりに聞いてみると、いかにも80年代って感じですね。曲のタイトルや歌詞なんかをみていても、ようやく一般化しはじめたコンピューターへの好奇心や憧れが織り込まれています。マイナーな「ニューウェーブサウンド」といえます。音的には、同じカナダのメン・ウイズアウト・ハッツとか、当時たくさんあったイギリス系テクノポップグループ(デペッシュモード、ヤズーなど)をほうふつとさせます。

写真のCDは、またまたユニディスクのベスト盤。代表曲がきちんと入っていますが、「3-D」のリミックスは入っていません。Trans X-2