ディスコ歌謡ああ、頭がくらくらしてきます。久しぶりにおバカさんディスコを探していたら、このCDにたどり着いてしまいました。題して「ディスコ歌謡 東芝EMI編」でございます。ディスコ歌謡シリーズは「キング編」とか「ビクター編」とか、10種類近くあるのですが、私は「東芝」と「ポリドール」の2枚を買って、「そういえば、あれもこれも欲しいな」となったのですが、すんでのところでやめました。

昭和歌謡はサブカルチャーの立派な一分野ですが、さほど深くは掘り下げていない私には徹底した解説はできません。しかし、70年代中期〜後期は、日本もディスコに染まっていたなのだなと、こういうコンピを聞いているとつくづく感じるわけです。このコンピに入っているのは、ほとんどみんな、今は忘れられているミュージシャンたちですが。

でも、聴いてみると、それほど悪くはないことに気がつきます。バックミュージック、女性バックコーラスなど、当時のモータウンやフィリーサウンドをおさえているものも多いんですよ。それに、ユーロ系ディスコ(ジンギスカンみたいな)を意識したのもあったりして。ドラム、ベース進行やボーカルにパンチに欠ける(!)面があって、正統派ディスコとは言いにくいものの、メロディーはなかなか立派だと思うのです。

写真の東芝編では、伊藤咲子、大場久美子、リリーズ、フィンガー5、欧陽菲菲なんかが登場しています。伊藤咲子や大場久美子なんて、けっこう私も小・中学生のころ聞きましたから、懐かしさもひとしおですが、「これはさすがにディスコじゃないなあ」と思いました。

ただ、「ジミー竹内とエキサイターズ」とか、後に「ロンリーハート」をヒットさせたクリエーションとか、なかなか本格的なファンキーなやつも含まれています。演奏も上手です。

70年代に「世界ディスコダンス大会」のチャンピオンとなった日本の英雄(!)テディ・団氏をフィーチャーした「ダンシング・ロボット」なんていう、ユニークなのも入っています。この曲は「ピコピコピコ」とノリが良くて、文字通りロボットダンスに適していますな。

特筆すべきは、(私が思うに)双子デュオ「リリーズ」の「Mr.ファンキー」。トランペットの音色が印象的で、ソウルフルで良いと思いました。その名の通り、ファンキーに違いありません(断定)。ボーカルとか歌詞は「原宿!」とか「新宿!」とか入っていてイタイのですけれども…。

私が彼女たちを贔屓目に見る理由は、出身地が私と同郷の北海道であり、しかもかの夕張市だということです。高倉健主演の「幸せの黄色いハンカチ」でも有名な炭鉱マチです。彼女たちが活躍していた当時は、テレビをみていて、失礼ながら「あんなとこからこんな可愛い双子が飛び出すとは」と子供心に思ったものでした。

実は、私は故郷での新聞記者時代、この付近を担当した過去がありまして、旧産炭地の閉山後の驚くべき衰退ぶりを直に見てきたわけです。ほのぼのとした「古き良きディスコ歌謡」の旋律を聞くと、炭鉱施設の廃虚群の風景をしみじみと思い出すわけですよ。鉄道が廃線になってますから駅前はさびれ、商店街もシャッター通りと化してしまい、痛々しいほどでした(しんみり)。

廃虚とディスコ、なんだか微妙にダブります。人間というのは、滅び行くものや去り行くものに時に郷愁をおぼえ、懐かしさと癒しを感じるものです。40歳の私にとっては、昭和ディスコ歌謡って、理屈抜きに混沌としたディスコ狂いの過去をよみがらせつつ、いくばくかのエネルギーもくれる存在なわけです。あぁ…(ため息)。

そういえば、このコンピには、九州筑豊地方の三池炭鉱のことを歌ったへんてこディスコ「男と女の炭坑節」というのも収録されています。やはりなんらかの因果を思わずにはいられません。

変則邪道ではありますが、ニッポン昭和ディスコを侮るなかれ。いつも聴くのは厳しいけれど、このコンピシリーズの1-2枚は持っていてもよいのではないでしょうか。けっこう人気のようですよ。