B.T.前回投稿のボハノンで思い出したのがBTエクスレス。とくにギターなどのストリングスとビート進行が似た感じがします。時代も同じころです。ニューヨークで生まれたバンドで、74年に「ドゥ・イット」と「エクスプレス」が、ビルボード一般チャートのそれぞれ2位と4位を記録し、一気に上昇気流に乗りました。

黒人の地位向上とともに台頭してきた、ファンクディスコの王道を行く感じです。プロデュースはジェフ・レーンという人で、「Movin'」でおなじみのブラス・コンストラクションなども手がけています。生音がまだまだ全盛のころなので、スライ&ファミリーストーンとかタワー・オブ・パワー、それにクール&ザ・ギャングなんかとも共通する、ブルースやジャズの要素を盛り込んだどろくさい曲が多い。いかがわしくもカッコいい初期ディスコのにおいがぷんぷんします。

まあ、BTといえば80年発売のアルバム「1980」の「ハブ・サム・ファン」ということなんでしょうが、これは日本特有のようです。米国では同じアルバムの中の「ゲット・アップ・ザ・ファンク」の方が売れました。ディスコチャートでは22位まで上がっています。この「ゲット・アップ…」の一部フレーズが、後年、ユーロの新女王カイリー・ミノーグの「ステップ・バック・イン・タイム」に使用されました。

BTは、ホーンやストリングスなどあらゆるセクションのミュージシャンを抱えた「セルフ・コンテインド」と呼ばれる大人数のバンド編成だったのでした。その中には、80年代中期からソロで活躍したカシーフもキーボーディストとして含まれていました。

ディスコブームに乗った人気は長続きはせず、「1980」以降は凋落の一途。それでも、数々の名曲を残しました。写真のCDはライノのベスト盤。音質が最高クラスですのでおススメです。前述のヒット曲だけでなく、「ピースパイプ」や「エナジー・トゥ・バーン」など、いまにも踊りに行きたくなるような、弾ける躍動感を楽しめる曲が豊富です。ただし「ハブ・サム・ファン」は入っていないので、日本盤などで出ている「1980」やディスココンピを購入するしかないでしょう。