
メーン曲は「ハング・アップ」。あのABBAの「ギミー・ギミー・ギミー」のサンプリングを下敷きにしていて、ビート進行がちゃんと「ドンドコドンドコ」しています。ベースになっているのは、80年代前半の、例えばボビーOのようなハイエナジーでしょうか。
シンセ部分はあえて、レトロな雰囲気を出しています。全体の曲調も「ギミー…」の持つ哀愁ユーロな感じがうまく生かされていて、それにあの舌足らずのマドンナのボーカルが乗っかっている感じです。
マドンナが大ポップスターであることは誰しもが認めるところ。けれども、ここ数年はセールス的にちょっと陰りを見せてきたところでした。「Confession=(罪などの)告白」というぐらいですから、ディスコを持ってきたことに多少の罪の意識があるのでしょうが、私にとっては「バック・トゥ・ザ・ルーツ」ということで、歓迎すべきところです。
このアルバムでは、ほかにもジャクソンズの「キャン・ユー・フィール・イット」やドナ・サマーの「アイ・フィール・ラブ」のサンプリングが入った曲が収録されてるようです。こんなアルバムなら、「ハウス&テクノ&ヒップホップ」にどこか抵抗感を持つ私のようなディスコおじさんでもOKですな。
19歳でミシガン州の田舎からスターを夢見てNYに「上京」し、ヌードモデルをやったり、ディスコアーチストのバックダンサーをやったり、数々の業界の男を手玉に取ったりしながら、ようやくディスコで人気に火がついたマドンナ。現在47歳で、キャリア的にも過渡期に入ってきた彼女にとって、「エヴィリバディ」や「バーニング・アップ」のテープを手に、NY中のディスコで懸命に売り込みを続けた若き下積み時代にいったん戻るというのは、とても好ましいことだと思っています。